大正製薬は、「はやぶさ2」応援限定ボトルの販売や、よみうりランドの新アトラクション「SPACE factory」への参画など、宇宙をテーマに幅広い活動を目指す「リポD SPACE PROJRCT」発足を発表した。大正製薬の代表商品「リポビタンD」が宇宙ファンにしたしまれるようになった経緯や、同社が目指すBtoCメーカーならではの宇宙開発との携わり方に迫る。
リポD 小惑星探査機「はやぶさ2」限定ボトルが発売
「リポD SPACE PROJRCT」発足発表ともに、リポビタンD 小惑星探査機「はやぶさ2」応援限定ボトルが2月14日より発売された。
限定ボトルのラベルデザインは、はやぶさ2のターニングポイントを描いた4種に加え、数々の困難を乗り越えて世界的偉業を成し遂げた初号機「はやぶさ」のデザイン1種を加えた計5種。大正製薬のオンラインショップにて、10本 ¥1,460で購入が可能だ。
ところで、なぜはやぶさとのコラボが実現したのかと、不思議に思う方もいるだろう。実はリポビタンDは、ある出来事をきっかけに宇宙ファンの間で広く親しまれている栄養ドリンクなのだ。
“リポD”が支えたはやぶさ2の軌跡
きっかけは、地球に帰還し一躍話題となった、初号機「はやぶさ」のプロジェクトメンバーのデスクにリポビタンDが置かれている写真がブログに掲載されているのを、大正製薬の社員が発見。
大正製薬の担当者は、栄養ドリンク剤のリポビタンDは、スポーツのあとなどの栄養補給に飲まれることを想定していたそうだが、デスクワークでの疲労や、宇宙のような失敗が許されない環境にプレッシャーを感じながら働いている人にもニーズがあることに気が付いたそうだ。
その後すぐに、大正製薬からリポビタンDを贈呈し、今となっては、管制室にリポDだらけの冷蔵庫があるほど、はやぶさ2のプロジェクトメンバーからは親しまれているのだとか。
熱烈なファンの間では、はやぶさのフィギュアとリポビタンD使ったオリジナル作品をSNSに投稿する人や、はやぶさが帰還した6月13日にリポビタンDで乾杯する人もいるそうで、すっかり公認のドリンクとなっている。
宇宙をめざす人を応援したい!「リポD SPACE PROJRCT」発足
大正製薬はさらに、「リポビタンD SPACE PROJRCT」の発足を発表した。
「はやぶさ2」応援限定ボトル発売のほか、よみうりランドの新アトラクション「SPACE factory」への、参画や応援メッセージを募集など、幅広く活動を行うとのこと。日本の宇宙開発の発展のために、大正製薬として話題提供や関心層の拡大に寄与したい考えだ。
(近未来の工場をイメージしたアトラクション「SPACE factory」のイメージ。)
都内で開催されたプロジェクト発足発表会は、はやぶさの映画を手掛ける上坂 浩光監督によるプロジェクト説明や、JAXAではやぶさ2のプロジェクトマネージャーを務める津田 雄一氏とはやぶさのイオンエンジンを担当したNECの小湊 隆氏によるトークセッションなどが行われ盛りだくさんの内容だった。
NECの小湊氏とJAXAの津田氏は、初号機「はやぶさ」の打ち上げ時に知り合い、打合せを重ねてきたという旧知の仲。
初号機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」に到達した際、小湊氏はイトカワの姿を世界最速で見られることを嬉しく感じた反面、想定外の出来事に臨機応変に対応していくことはやはり大変なことであったと語った。
津田氏は、はやぶさ2の小惑星「リュウグウ」へのタッチダウンを実施するかどうかの決断に迫られたとき、メッセージが心の支えになったと話し、応援の力強さを実感した。
(発表会では、ファンからの手書きメッセージ入りの横断幕が贈呈された)
めざすは月面での「ファイト一発!」
宇宙といえば、今後も有人月面着陸や宇宙旅行など、多くの人々が一度は夢見たことがあるだろうワクワクする話題が今後も目白押し。今後楽しみにしていることは何かという質問に大正製薬の梅岡氏は、宇宙開発に携わる人々を広く応援したいとコメントしたうえで、将来的には「月面で『ファイト一発』と言いたい」と答えてくれた。
リポD SPACE PROJECTは、WebサイトやTwitter、漫画「宇宙兄弟」とコラボしたコンテンツを通して、宇宙に関する情報を発信していくそうだ。2020年10月以降を予定しているはやぶさ2のカプセル帰還や、来る宇宙開発のビッグニュースに備えて、のぞいてみてはいかがだろうか。
取材・文/井上榛香