一番好きなもんが一番安い、このありがたさ
店内の中央に細いカウンター状のテーブルが“く”の字に置かれている。いやホント、テーブルというよりも幅30センチくらいのカウンターみたいなテーブル。その細いテーブルを両側から客が挟んで座っている。
当然、客と客がそのテーブルを挟んで真正面に対峙すると、テーブルが細いもんだから、向かい合った二人分の飲み物や料理を置くスペースというか奥行きはほとんどない。そこで、客はテーブルを挟んで斜め互い違いに座るような仕組みになっている!
どうですか、この創意工夫的省スペース!
まずは喉が乾いてたんで、酎ハイ(350円)を頼み、つまみはなににしようかなぁ〜と壁の短冊を見ると、『名代もつ煮込み・170円』とある!
お〜オレのフェバリエットつまみが、外の看板に書かれてた“つまみ170円〜”の一番安いヤツだったのか! と感動しつつ、それ注文!
そして登場したもつ煮込みが、うれしいじゃないですか、オレの愛してやまないもつとコンニャクだけのいわゆる上州スタイル! それが170円!!
そのモツ一切れをつまんだ位で、早くも酎ハイは底を突き、二杯目を思案しつつ店内見渡せば、薄琥珀色の液体の入った一升瓶が壁際に何本も並んでる。
もしやアレは、オレの好きなアレじゃないか? と思い、も一度酒の品書きを凝視すると、ありました、ありました。オレの好きなアレ…『焼酎梅割り(250円)』が!!
お〜、このオレの大好きな酒も、外に看板にあった“酒250円〜”の一番安いヤツだったのか!
ツマミも酒も、オレの一番好きなヤツが一番安いって、なんつうオレの趣味嗜好にフィットした店なんだ!
ちみなに焼酎梅割りがなにか知らない人に説明いたしますと、甲類焼酎に梅シロップをちょっと混ぜたヤツね。
たいていの店では、焼酎がなみなみと入れられたグラスが受け皿に載せられてテーブルに届く。でもって、客の目の前でそのグラスの上から梅シロップを注ぎ入れる。
梅シロップは糖分があって比重が重いので、グラスの底まで沈みながら焼酎と混ざり合う。そしてその混ざり合って“梅割り”になったヤツがグラスから溢れて、その下の受け皿を満たす。ってな感じて提供される。
でもこの店は……。