「すいません、話があるのですが」
2人きりになった時にそう一言。表情は思いつめ、どこか申し訳なさげ。嫌な予感がして話を聞いてみると、「会社、辞めます」と告げられる……
マネジャーやチームリーダーの方にとって、あるあるなシチュエーションではないだろうか。
特にそれが今後を期待していた部下だった時には 「本音に気づけなかった」「いつ、どうケアすればよかったんだろう」と落ち込んでしまうかも知れない。
そこで今回、そんな上司たちの、部下の突然の退職宣言による“退職ショック”を防ぐための方法について紹介していく。
「転職しようかな…」部下がそう考え、活動を開始する時期は1月?
転職者がいつごろ転職を考え始めるかというと、1月は1つの大きなタイミングと考えられる。
冬のボーナスが期待していたより少なかった…という“期待外れ感”に加え、年末年始の長期休暇で時間ができることで今後も今の会社・ポジションで働き続けるか否かを考え始める人も多いことだろう。
また、企業側の事業年度から考えると、新年度を迎える4月に社内体制を整備するために採用活動を活発化させるのが、2~3月。
そこに合わせて活動をするとなると、求人の検索や書類の準備をし始めるのが1月となるからだ。
上司が部下の「転職しようかな…」という本音に気づけない理由
なぜ、上司は部下の転職意向に気づけないのだろうか。その原因の1つとして、上司がマネジャーとしての業務(部署やチームの売上管理、部下の業務面・精神面のケア等)だけでなく、プレーヤーとしての業務を行わざるを得ない、いわゆる「マネジャーのプレイング・マネジャー化」が考えられる。
リクルートマネジメントソリューションズの実施した「ミドル・マネジャーの置かれる環境と仕事の実態に関する調査」では、マネジャーのうち7割強がプレイング・マネジャーであり、4割強はプレイング業務の割合が45%以上と回答している。
なぜプレーヤーとしての業務を行っているかについては、「業務量が多く、自分もプレーヤーとして加わる必要があるから」という回答が61.3%と最も多く、続いて多かったのが「もともとプレーヤーとしての業務遂行も役割として定められているから」という回答で46.0%だった。
これらは、業務量に対して十分な人数が確保されていないことに起因するものと想定される。
この調査結果から、多くの上司の方が、業務過多により部下の精神面のケアまで目が行き届きづらくなってしまっていることが伺える。
「頑張っているな」と期待している部下が実はネガティブな感情の可能性は 31%!
さらに、リクルートマネジメントソリューションズが実施した従業員のワーク・メンタリティについての調査からは、上司が「彼・彼女はよく頑張っているし、成果も上げているから大丈夫だろう」と思っていたメンバーが、実はネガティブな心理状態である可能性が 31%もあることが分かっている。このすれ違いの延長で、“退職ショック”が起こることも少なくない。
出典元:リクルートマネジメントソリューションズ
構成/こじへい