経路が2つだから組み立て部品も通常より多い70!
通常のキャンプ用バーナーは50程度の部品で構成されているが、聖火リレートーチはマイクロレギュレーター搭載で、バーナーの経路も2つなので70もの部品から構成されている。
聖火リレートーチの組み立ては1万本以上で、安全性を考え、それらをすべて検査する。
水槽に沈めて、高圧の窒素を通して漏れがないか確認。ひとつひとつ水に沈め、目で確認するのが結局、一番確実なのだという。
小さな炎も見逃さないよう、暗室で燃焼テスト。つなぎ目にも火を近づけ、漏れがないかを確認。
筐体の下の方に小さなポジションマークが付いている。筐体自体はネジが使われていないのになぜ? それは、手探りでもポジションマークがわかれば正面だと把握できるし、このポジションマークを目安にして持てば安全性も確保できるため。燃焼部同様、どんな環境でも、だれもが使えるユニバーサルデザインの聖火リレートーチに仕上がった。
手間をかけ、日本の技術を集結した聖火リレートーチは工芸品に近い。
東京2020オリンピック・パラリンピックでは、走者自身が使った聖火リレートーチを約7万円で販売するという。触媒燃焼を生み出すプラチナの価格、つなぎ目のない押し出し加工などほかにはない技術を考慮すると、決して高額ではない。
東京2020オリンピック・パラリンピックの聖火リレーでは、聖火リレートーチのデザイン、そして炎の美しさにもぜひ注目したい。
取材・文/大森弘恵