田中達也さんの創作意欲をかき立てるのは、数え切れないほどストックしている日用品とフィギュアたち。そのすべてを独自のルールで収納しているという。ある意味でアートともいえる整然とした収納空間をどのように構築しているのか、田中さんに聞いた。
ミニチュア写真家・見立て作家 田中達也さん
ミニチュアの視点で日常にあるものを別の物に見立てるアート「MINIATURE LIFE」で、国内外から高い評価を得ている。
新作はニッポンがテーマ!
『MINIATURE TRIP IN JAPAN』
数ある田中さんの作品の中から、日本らしさを感じる風景やカルチャー、フードを厳選した写真集が発売中(小社刊)。
田中達也的収納メソッド
1. 同規格のアイテムで整然と見せる
2. すぐに見つけられる工夫が大事
3. 不要な人形用の箱などは迷わず捨てる
モノもアイデアもルールに沿って収納する
壁一面に整然と並ぶ収納ケースは、まさに圧巻! そこには緻密な作品を彩る人形や情景模型、そして〝見立て〟の表現に用いる日用品や食品サンプルが何万という単位で収納されているが、その収納のほとんどが無印良品のアイテム。
「無印良品はサイズ展開も豊富で、どんなものでもぴったりハマります。主張しすぎないデザインなので、アトリエで視覚的にじゃまにならないのも重要ですね」
一方で田中さんの事情が少々特殊なのは、基本的にものを捨てないこと。ミニチュアひとつ取っても、いつどこで、どんな作品になるかわからない。だから増え続ける。
「ものが増えたら収納場所を増やしていきます。だからこそ、統一感を守るためにも使っている収納グッズが廃番になると困る。その点、無印良品は定番商品が多いので安心感がありますね。逆に100均などの収納グッズは商品サイクルが速いので、僕のように整然と構築する収納には不向きです」
そんな田中さんの収納ルールは、ただひとつ。「決まった場所に収納する」というシンプルなものだ。
「数が多いのでこのルールから外れると、二度と見つかりません。それは記憶やデータも同じで、ルールを決めて整理している。そこからアイデアが浮かぶのです」
整然としたアトリエで、想像力にあふれる作品が生まれる!
一覧性を持たせた収納は、眺めるだけでアイデアを思いつきやすい利点がある。片づけ中に発想が生まれることもあり、あえて片づけをすることも。
【A】フィギュア類は壁に広く浅く収納する
フィギュアの壁収納は無印良品ではなく、プラスアート社のアクリルケース。「人形を重ねず、広く浅く陳列するのがコツ」(田中さん)
【B】作業机の側面を隠す収納棚
雑多に見えがちなデスクの側面を隠す収納棚には、未塗装の人形が入った箱を陳列。赤で統一されたデザインの箱なので、シンプルなアトリエの差し色になっている。
【C】人形は、引き出し式のアクセサリーケースに
人形の収納には、3種のアクセサリー用ケースを活用。「サイズ、種類、ポーズによってケースを使い分けています」(田中さん)