左右独立型キーボードキットを作ってみた
自作キーボードキット専門店、遊舎工房で、私が選んだキットは『ErgoDash mini』である。その理由はスルーホール基板を使っているのでハンダ付けが容易な足つきのダイオードが使えること。キー配列がエルゴミクスなcolumn staggeredで、数字の行をなくした4×7配列であることだ。
キットの価格は1万2000円で、これ以外に必要なのはキースイッチ56個(親指のキー配列によって数は変化する)、キーキャップ56個、PCと接続用のMicroUSBケーブルと、キーボードの左右を接続するTRRSケーブルと呼ばれる4極端子のケーブル。あとはハンダゴテやニッパーなどの工具とハンダなどの消耗品。遊舎工房の工作室を利用すれば工具もハンダも用意されており、2時間500円で利用できる。今回は工作室を使わせてもらいキーボードを組み立てた。所要時間は4時間18分だった。総予算は『Gateron Silent』キースイッチ赤軸が56個で4312円、キーキャップの『MDA Big Bang 2.0』が8085円、『ErgoDash mini 親指あり』が1万3200円、税込合計金額2万5597円となった。
ハンダ付けの個所は多いが難易度は低め
キーボードキットで最も難しいのはLEDのハンダ付けと言われている。その役割はキーをライトアップすることなので、今回は省略した。次に難しいのはダイオードのハンダ付けで、その対策としてハンダ付けが容易な足つきのダイオードが使えるスルーホール基板を採用したキットを選んでいる。これ以外にハンダ付けする個所は接続端子、Pro Microのコンスルー、タクトスイッチ、キースイッチとなる。真空管アンプキットを作ったことがあれば問題なく完成できるレベルのハンダ付け難易度だった。
キットにはPro Microやゴム足まで入っている。これに好みのキースイッチとキーキャプを加える
1Uタイプの機能キーが多めのキーキャップを選択、キースイッチはリニア軸の静音タイプだ
必要になりそうなモノ。使ったのはエポキシ系接着剤とマスキングテープ
キータッチが向上するルブにも挑戦したいが…
メカニカルキースイッチのタッチを向上させ静音化を進めるためにルブ(lube)というチューニングがある。キースイッチを分解してルブと呼ばれる潤滑剤を塗布するだけ。だけといっても数が多いので大変なのだ。必要なのは潤滑剤のルブと、キースイッチオープナー、マイクロアプリケーターまたは筆、ジェムホルダーとルブステーション。
ルブに掛かる時間は、遊舎工房のスタッフにたずねると56個のキースイッチで約4時間、急げば3時間とのこと。これだと本日中に完成できないので、今回はルブは見送り決定。工作室に行く前に自宅で済ましておくべきだったと反省した。ちなみにキースイッチ取り付け後のルブは困難だ。
遊舎工房で購入した『Krytox GPL 105-1.8ml』とAmazonで購入したマイクロアプリケーター
ルブステーションはAliExpressにて購入。その後に遊舎工房からコラボ製品が発売された
ダイオードのハンダ付け下準備をおこなった
最も時間が掛かりそうなダイオードのハンダ付けのための準備を自宅で済ませることにした。ダイオードの足、すなわちリード線をちょうどいい長さに曲げるためのリードベンダーという工具を使う予定だったが、実際やってみると時間が掛かって効率が悪いので、ちょうどいい厚みの雑誌を探して背表紙を使って一気に曲げることにした。これで問題なく曲げられた。次に基板の裏側からダイオードを差し込んでマスキングテープで固定。表側に出た足をハンダ付けしやすい長さにニッパーでカットすれば下準備完了。基板は左右対称に置いて裏表を決める。ダイオードにはご存じのように方向性があるので、部品の黒い方が基板の四角、無印の方が丸になるように取り付ける。本機の回路は全て下向きが四角で統一されていた。
それから、キーボードをコントロールするためのチップが入っている部品、Pro MicroのMicroUSB端子部分が外れやすいため、予めエポキシ系接着剤で固めて補強しておいた。この作業が面倒な人は端子部分がマグネット式のケーブルを使う事をオススメする。USBケーブルは、あまり抜き差ししないと思うだろうが、キーマップを変更するために後々、抜き差しが必要となるのだ。
ダイオードはシートから外さずにまとめて曲げてから、ニッパーで切り離すのがいい
ダイオードが落ちないように裏側からマスキンテープで固定後、ハンダ付けする