
現在、世の中には多くの通信回線が存在します。中でもWiMAXは、光回線やWi-Fiと同様、広く知られているインターネット用語です。WiMAXとは何かを具体的に解説し、他回線との違いやおすすめの通信サービスなどを紹介します。
そもそもWiMAXとは何か?
WiMAXは、インターネット通信をする際に利用できる回線の一つです。具体的にどのようなものなのか、理解を深めておきましょう。
無線の通信技術のこと
無線でデータ通信を行う方法としては、さまざまな規格があります。例えば、4GやLTEなどは、携帯電話における無線の通信規格です。
Wi-Fi(ワイファイ)やBluetooth(ブルートゥース)も、無線で通信を行える方法として、多くの場面で利用されています。
WiMAXは、これらと同じ無線通信技術の一つです。光回線のような工事を必要とせず、自宅でも屋外でもインターネット通信ができるなどの特徴があります。
『UQ WiMAX』など、WiMAXの名が入った言葉を多く見かけますが、これらはWiMAXを利用した通信サービスの名称です。
また、WiMAXを外で利用する際に持ち運ぶ小型機器は、異なるネットワークを接続するための装置『ルーター』です。機器自体がWiMAXではないことに注意しましょう。
WiMAXとWi-Fiの違い
WiMAXとWi-Fiは、どちらも無線で相互通信するための規格です。しかし、両者はそれぞれ異なった通信方式として分類されています。
WiMAXは、広域な提供エリアの中に広がるネットワーク『WAN』を利用した技術です。利用エリア内にある基地局を通し、電波を送受信してインターネット接続を可能にします。
一方、Wi-Fiは、ローカルなエリアのネットワーク『LAN』を利用した技術です。自宅やオフィスなど、範囲が限定されたエリア内でのみ、ネットワークを結びます。
例えば、WiMAXルーターを使用し、屋外で通信をする場合、ルーターが電波を受け取る技術はWiMAX、ルーターからスマホなどに電波を発信する技術はWi-Fiということになります。
WiMAXのメリット
WiMAXを特徴づけるいくつかのメリットを紹介します。他のインターネット回線とも比較しながら、自分にとって使いやすいかを考慮することが大切です。
通信速度が速い
WiMAXの最新規格『WiMAX2+』では、全ての環境が完全に整っている場合の速度理論値が1.2Gbpsです。
一般的に普及している光回線の速度理論値は1Gbpsとされているため、理論上の最大スピードは光回線よりWiMAXの方が速いことになります。
実際には、さまざまな影響を受けて速度が下がり、無線通信であることも大きな影響を受けます。そのため、実測値で比較すると、WiMAXの速度は有線の光回線を下回ることがほとんどです。
それでも、WiMAXは他の無線通信と比べ、1.5~2倍ほど速度が上がります。快適さ重視で無線インターネット環境を選びたい人でも不満に思うことはほとんどないでしょう。
面倒な工事が不要
自宅の固定回線として近年主流の光回線は、導入するにあたり初期工事が必要です。申し込みから工事完了まで待たなければならず、時期によっては数カ月先になることもあります。
一方、WiMAXは工事が不要です。申し込み後、基本的には数日で無線ルーターが自宅に届き、その日からインターネットを利用できます。もちろん、工事費も一切かかりません。
有線ネットワークに不可欠なモデムやケーブルが必要ないため、室内がすっきりし、ほこりもたまりにくくなります。
インターネットをすぐに使いたい人や、自宅でネットを利用する機会が少ない人、近いうちに引っ越しを考えている人などにとって、WiMAXは光回線に比べ、より魅力を感じられるでしょう。
通信制限が少ない
携帯電話など、多くのモバイルネットワークサービスでは、通信量に制限がかかります。一般的に、一定のデータ通信量に達した場合、月末まで極端に速度を落とされるのです。
しかし、WiMAXは通信量による制限がほとんどありません。使用量が3日で10GBを超えると、速度制限がかかるなどのルールはあるものの、他のモバイル回線と比べかなり軽い制限といえます。
さらに、速度制限がかかった後も、極端にスピードが落ちることはありません。通常のサイト閲覧程度なら、問題なく行えます。
基本的に月々の通信制限はないため、一時的な制限のルールがあることを除けば、光回線とほぼ同じように考えることが可能です。
WiMAXのデメリット
無線通信であるWiMAXは、繋がりにくいケースがあります。また、速度制限を受ける場合があることも理解しておきましょう。
場所によっては繋がりにくい
WiMAXの提供エリアは、大手携帯電話会社が提供するモバイルネットワーク網ほど広くありません。山間部や人口の少ない地域では繋がらないことも多くあります。
自分の住んでいるエリアが使えるかどうか、WiMAXの公式サイトで事前確認することが大事です。旅行先や引っ越し先で使いたい場合も、受信エリアなのか確認しましょう。
また、WiMAXは高周波数の電波を使用しています。高周波数の電波は、障害物があると通過しにくい性質をもつことが弱点です。
そのため、室内では電波が弱くなる可能性があります。ルーターを窓際に置き、電波の通りをよくしたり、無料お試しサービスを利用して電波状況を確かめたりしてみましょう。
速度制限がかかることも
前述したように、WiMAXでは通信制限が少なく、基本的に月々の使用量に対する制限はほとんどありません。
しかし、3日間の通信量が合計で10GBを超えると、ネットワークの混雑を回避するため、一時的に通信制限を受けることがあります。
制限後も速度が極端に落ちることはありません。制限がかかる時間も、超過した翌日の午後6時頃~翌午前2時頃までと、数時間程度で元の速度に戻ります。
仕事などでサイズの大きいファイルを頻繁にダウンロードする機会がある人は、一時的にでもこのような制限を受けてしまうことを念頭に置く必要があるでしょう。
どこと比較すべき?プロバイダの特徴を紹介
WiMAXサービスを提供しているプロバイダは数多くあります。主要プロバイダの特徴を理解し、選ぶ際の参考にしましょう。
au携帯がお得に UQ WiMAX
現在、国内で利用されているWiMAXの回線提供元は、KDDIの子会社である『UQコミュニケーションズ株式会社』です。
WiMAXサービス『UQ WiMAX』は、UQコミュニケーションズが提供しています。日本におけるWiMAXの回線提供元が運営するサービスであるだけに、充実したサポートが魅力です。
また、auブランドのモバイル通信を展開するKDDIの子会社でもあることから、au携帯がお得に利用できることも大きな特徴です。
auが提供する『auスマートバリューmine』に加入していれば、UQ WiMAXで対象となる料金プランを契約することで、au携帯の利用料金が月額で最大1000円割引されます。(2020年1月現在)
【公式】UQ mobile・UQ WiMAX|UQコミュニケーションズ
即日開通 BIC WiMAX
全国40カ所以上に店舗を展開する家電量販店大手『ビックカメラ』のWiMAXサービスです。ビックカメラ以外にも、子会社であるソフマップやコジマなどの系列店舗で申し込めます。
契約に関して分からないことなどを、店舗スタッフに直接教えてもらえます。契約時にその場で端末を受け取れるため、すぐにインターネット通信が利用できることも魅力です。
また、BIC WiMAXでは、「店舗商品が最大2万円割引される」「5万円分のビックカメラ商品券がもらえる」の2種類から選べるキャンペーンを実施しています。
割引キャンペーンの方は、契約と商品購入を同時に行うことが条件です。商品券を受け取りたい場合も、指定されたプランを契約する必要があります。(2020年1月現在)
料金の安さが魅力 Broad WiMAX
WiMAX回線だけでなく、光回線やモバイル回線のサービスも手掛ける、『株式会社リンクライフ』が提供するWiMAXサービスです。
他社のWiMAXサービスと比べ、トップクラスの安さに設定された月額料金が特徴です。
安い料金でありながら、用意されているプラン構成は基本的に他社と変わりません。利用回線自体も他社と全く同じであるため、通信速度や使用感もほぼ同じと考えてよいでしょう。
また、端末代などの初期費用が無料になるキャンペーンを実施しています。キャンペーンの適用条件は、公式サイトから申し込むことや、支払方法にカード払いを指定することなどです。(2020年1月現在)
【公式】Broad WiMAX(ワイマックス)| 工事不要のWi-Fiルーター
SONYが運営 So-net モバイル WiMAX2+
SONY系列の会社が運営するプロバイダ『So-net』のWiMAXサービスです。運営歴の長いプロバイダだけあり、信頼性が高く、安心して使えます。
端末は、モバイルルーターとホームルーターの2タイプから、用途に合わせて選べます。端末代金と送料は無料です。条件を満たせば、無料で機種変更できます。
au携帯を利用している場合や、乗りかえを検討している場合は、auスマートバリューmineに加入することで、au携帯の月額利用料が毎月最大1000円割引されるプランもあります。
So-netが提供するサポートが充実していることも魅力です。『So-net安心サポート』『So-net くらしのお守り ワイド』『カスペルスキー セキュリティ』などが利用できます。(2020年1月現在)
WiMAX (ワイマックス) | インターネット接続 | So-net (ソネット)
WiMAXの設定方法
各種サービスへ申し込んだ後、インターネット通信を利用するまでには、いくつかの設定が必要です。おおまかな流れを知っておきましょう。
端末の組み立て
申し込み後に箱が届いたら、同梱物を取り出して組み立てる必要があります。ルーターへ電池パックを取り付け、SIMカードを挿入すれば、基本的な組み立ては完了です。
加入者を特定するためのID番号が記録されたSIMカードは、非常に繊細な部品です。金属部分には触れないよう注意し、挿入する向きにも気をつけましょう。
送られてくる箱の中には、ルーターのパスワードを記載したシールが入っている場合があります。スマホなどへの接続時に必要なものであるため、大事に保管しておきましょう。
組み立てが済んだら、ルーターの電源を入れて初期設定に進みます。電源を入れる前に、念のため十分に本体の充電をしておきましょう。
設定ウィザードを開始
ルーターの電源を入れると、画面に電波の受信状態が表示されます。電波が弱いようなら、窓際など障害物の少ない場所へ移動し、安定した通信ができる環境を整えましょう。
スマホやPCに接続するための設定ウィザードに従い操作を進め、正しく接続できれば、インターネットが利用できるようになります。
設定ウィザードでは、パスワードなどのWi-Fi設定情報を手動で入力する方法以外に、WPS機能を利用して簡単に接続できる方法もあります。
WPS機能は、電波の発信源であるルーターと、電波を受け取る端末との間で、パスワードを入力することなく自動で設定してくれる便利な機能です。
構成/編集部