では、いよいよ釣りだ。年末年始にたびたび釣行を予定するも悪天で、「Gゼロクッション」購入後の釣りは、2020年1月11日の本年初釣りと相成った。アマダイを狙って、内房勝山港の萬栄丸に。当日は晴天・暖かながら、土曜日なので満船。いつもの釣友・正林さんと、右舷真ん中あたりに並んで席をとる。混んでいるので釣り人同士の間隔が狭く、お互いの仕掛けが絡みそうだ。とはいえ今回の目的は、釣果より「Gゼロクッション」の使い心地だから気にならない(わけがない!)。
果たしてその座り心地は、やはり無重力とは言わないが極めて快適だ。まさに硬い釣り座でこそ、釣り船でこそ、「Gゼロクッション」の真価が発揮されると思う。波風穏やかにつき実証はできないが、ある程度の重さがあるので飛ばされることはないはずだ。ただし、雨や波で釣り座が濡れて滑るのでは、という懸念はある。だが僕はそういう天候では釣りに行かないので問題ない。
その後知ったが、「Gゼロクッション」の競合製品がいくつか存在する。釣具店には「フィッシングジェルクッション」という製品があった。パッケージに「風に飛ばされない! 滑ってズレない!」とあるので、「Gゼロクッション」も滑らないのかもしれない。クッションを使う釣り人は多く、画像のオレンジは推定「防水クッション」、黄緑は推定「フィッシングジェルクッション」だ。
というわけで快適な座り心地を味わうも、アマダイはとんと釣れない。正林さんも釣れない。7時開始から3時間経っても、釣れるのは外道ばかり。その間、錘の色を白から赤に変え、また白に戻したが効果なし。10時過ぎ、海の色が青いので一番駄目だろうと思った緑に変えると、やっと30cm級が来る。続いて20cmちょいの、“鼻タレ”サイズ。この頃には仕掛けの絡み頻発で、標準仕掛けの長さ2m/太さ3号が底をついてしまった。
小さいのしか釣れないからこれでいいと、定石破りの太さ2.5号の細仕掛けを使うや確かな手応えが来る。釣り上げる途中で他の釣り人の仕掛けと絡みどうなることかと思うも、仲乗り氏の適確なアドバイスで上がってきたアマダイは47cmとビッグサイズだ。以後30cm級を連釣、終わってみれば船中最大サイズ&合計5匹を釣って竿頭、幸先のいい初釣りとなった。ちなみにいつもアマダイでは僕より遙かに好釣果の正林さんは鼻タレ1匹、前途に暗雲垂れ込める初釣りに終わった。
47cmのアマダイ。実は前回、昨年11月の釣行でも47cmを釣った。
アマダイは身が柔らかく、刺身なら当日、せめて翌日には食べたい。だがこの大物は釣りの翌々日、さる友人宅に持っていくことにしたので刺身というわけにはいかない。思案を重ねたあげく、しゃぶしゃぶにすることにした。正林さんは、「身が柔らかいからボロボロになるのでは」と否定的だが、それも一理あるとも思う。“アマダイ”“しゃぶしゃぶ”で検索しても、ヒットは少ない。だがあるにはあり、それを目玉にする和食店も見つかったが、さすがに何日目のアマダイかなどという記述はない。しかしやってみると、もの凄く美味しい。食した4人全員の感想だ。身はボロボロどころか、プルンと締まる。とはいえ、固すぎはしない。大物を釣った釣り人ならではの幸福。次回も大きいのを釣って、正林さんに食べさせて進ぜよう。
文/斎藤好一(元DIME編集長)