非乳製品ヨーグルト市場もホット
さらに最近では、ヨーグルトも植物性のもので作られたものが人気だ。
スーパーのヨーグルト売場に足を運ぶと、非乳製品ヨーグルトが棚一面を埋め尽くしており、その光景に圧倒される。
アメリカ最大のヨーグルトブランドである「Chobani(チョバーニ)」も、植物性乳製品に対する需要の高まりを受けて、2019年初めについに植物性ヨーグルトを発売した。
牛乳ではなく、ココナッツをベースにして作られた、ビーガンでも食べられるヨーグルトだ。
アメリカでは複数のブランドが非乳製品ヨーグルトを発売しているが、チョバーニの植物性ヨーグルトが注目を集めている理由は「糖分の少なさ」と「フレーバーの多さ」。
他のブランドの植物性ヨーグルトと比較し、チョバーニの植物性ヨーグルトは25%も糖分がカットされている上に、人工甘味料や防腐剤なども使用していない。
また、プレーンヨーグルトだけではなく、苺・ブルーベリー・マンゴーなど9種類ほどのテイストでシリーズ展開しているため、毎日食べても飽きることがないと好評である。
実際に食べてみると、乳製品を使用していないため、ヨーグルトのような「トローリ」とした滑らかさはなく、どちらかと言うとゼリーのような「プルルン」とした食感がある。
濃厚さに欠けており、ヨーグルト好きの人は物足りなく感じるかもしれない。
なぜ植物性食品が人気なのか?
アメリカで人々が植物性食品を求めている理由は、健康面というよりも、環境面の影響が大きい。
2018年にイギリス・オックスフォード大学が中心となって行った研究では、「世界の気温が2度以上上昇することを防ぐためには、人々が牛肉の摂取量を75%、豚肉の摂取量を90%減らす必要がある」と発表された。
あまり知られていないことだが、畜産業をする上で大量のメタンガスが排出されている。牛1頭がゲップやおならをすると、1日160〜320リットルものメタンガスが排出されており、このメタンガスが地球温暖化に繋がっているのだ。
また、畜産業は温暖化だけでなく水不足問題にも関わっている。畜産業は果物や野菜の生産と比較し、大量の水を必要とする。
2030年には水の供給が需要に対して40%不足すると言われている現在、水資源の管理は持続可能な発展のために重要な課題となっており、水の使用量を減らすためにも肉食生活から植物生活にシフトしようという動きがアメリカをはじめ世界で高まっているのである。
私たちが環境保全のためにできること
「肉を使用しない=ヘルシー」と思っている人も多いが、フェイクミートや非乳製品などの植物性食品には油や添加物などが含まれていることも多く、専門家の間では健康上の問題について議論が続いている。
このような事実からも、「肉を一切口にしない」という極端な食生活は推奨しないものの、「畜産業が環境に及ぼす影響」などについての知識を深め、環境保全のために毎日1食だけ野菜や果物だけの食事に置き換えるなどのアクションは日本でも必要かもしれない。
文/小松佐保(Foody Style代表)