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退職金の給付額は勤続年数、会社の規模、職種でどう変わる?

2024.03.17

一般的な退職金の平均を知り、現在の職場で働き続けた場合の金額を大まかに算出できれば、今後のライフプランなども考えやすくなるでしょう。退職金の平均金額や主な計算方法、学歴・職種・地域別の目安などを紹介します。

退職金制度の基本

企業を退職する際に支払われる退職金制度の概要について解説します。二つの受け取り方法があることや、制度がない企業もあることを理解しましょう。

退職一時金制度と退職年金制度

退職金制度は、退職時に一括で支払われる『退職一時金制度』と、退職後に一定金額を年金として受け取れる『退職年金制度』の二つに大別できます。

厚生労働省の『平成30年就労条件総合調査』によると、退職給付制度を採用している企業の形態別割合は、『退職一時金制度のみ』が73.3%、『退職年金制度のみ』が8.6%、『両制度併用』が18.1%です。

退職一時金制度を導入している企業の支払準備形態別割合は、『社内準備』が57.0%、『中小企業退職金共済制度』が44.0%、『特定退職金共済制度』が11.5%となっています。

一方、退職年金制度における同割合は、『厚生年金基金』が20.0%、『確定給付企業年金』が43.3%、『確定拠出年金』が47.6%です。

令和5年就労条件総合調査  厚生労働省

導入する中小企業が急増する「退職金共済」の仕組みとメリット

企業によってはないことも…

退職金の給付は、全ての企業に法律で義務付けられているわけではありません。制度を導入することや、金額・支払い方法などについては、企業が決めてよいことになっています。

厚生労働省の『平成30年就労条件総合調査』によると、何らかの退職給付制度を導入している企業は80.5%です。5社のうち1社は、退職金が支払われないことになります。

企業規模別の導入割合は、常勤従業員が30~99人の企業で77.6%、100~299人では84.9%、300~999人では91.8%、1000人以上の企業は92.8%です。

企業規模が大きくなるほど、退職給付制度の導入割合は高くなることが分かります。

学歴や勤続年数で退職金の平均は変わる?

大卒と高卒の違いや、企業に在籍した年数の違いで、退職金の平均には差が出ます。それぞれについて、データを交えながら確認しましょう。

大卒・高卒の退職金の平均

厚生労働省の『平成30年就労条件総合調査』によると、大卒の管理・事務・技術職が定年退職した場合、退職金の平均額は1983万円です。

一方、高卒の場合は1618万円で、会社都合・自己都合・早期優遇による退職での給付額平均も、それぞれ高卒より大卒の方が高い数値となっています。

高卒に比べ、大卒の方がより多くの退職金を受け取れる理由としては、多くの企業で月給をもとに退職金を算出していることが挙げられます。

基本的に、高卒より大卒の方が重要な役職に就きやすく、役職が高くなるほど月給も上がるため、それに比例して退職給付の金額も上がるという仕組みです。

メリットは?デメリットは?30代、40代会社員が知っておくべき「早期退職」で後悔しないためのポイント

勤続年数3・5・10年での退職金の差は?

東京都産業労働局の調査では、自己都合退職の場合に退職一時金を受け取るための最低勤続年数を3年としている企業が、全体の半数近くにのぼります。

最低でも3年は勤めなければ退職金を支払わない会社が約半数ある一方で、1~2年の勤務で退職金を支払う会社も約3割存在します。

この調査によると、大卒の若年層が中小企業を自己都合で退職した場合の平均退職金は、勤続年数3年で約24万円、5年で約44万円、10年で約122万円です。

企業にもよりますが、10年未満の場合は年ごとの給付率にそれほど差がないのに対し、勤続年数が10年を超えた場合は、給付率が一気に上がる傾向があります。

基本的に、自己都合退職より会社都合退職の方が、受け取れる金額が高くなることもポイントです。

中小企業の賃金・退職金事情(令和5年版)|統計・調査|東京都産業労働局

大企業・中小企業の退職金の平均

企業規模が大きくなるほど、支給される退職金の平均額は高くなります。公務員と民間企業の違いもチェックしましょう。

大企業の退職金の平均

厚生労働省の平成30年就労条件総合調査では、平成29年の1年間における、勤続20年以上かつ年齢45歳以上の会社都合退職者に給付された、退職金の平均額が分かります。

大学・大学院を卒業し、従業員1000人以上の大企業で管理・事務・技術職として働いていた人の場合、勤続20~24年で1296万円、25~29年で2166万円、30~34年で2729万円、35年以上で2673万円、全体の平均は2564万円です。

勤続年数が数年異なるだけで、退職金に大きな差が生まれることが分かります。なお、これらの数字は会社都合退職のものであり、定年退職や自己都合退職の場合は金額が下がるでしょう。

就労条件総合調査 / 平成30年_就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)の支給実態

中小企業の退職金の平均

次に、大企業の場合と同じ条件で、中小企業における退職金の平均額を確認しましょう。

従業員が300~999人の企業は、勤続20~24年で766万円、25~29年で1313万円、30~34年で1880万円、35年以上で2196万円、全体の平均は1597万円です。

従業員が100~299人の企業は、勤続20~24年がデータなし、25~29年で1019万円、30~34年で1830万円、35年以上で1381万円、全体の平均は1410万円です。

従業員が30~99人の企業は、全体の平均が1096万円で、勤続年数ごとのデータはありません。

全体の平均、勤続年数ごとの平均ともに、企業規模が大きくなるほど、退職金の平均額も高くなります。

公務員と民間企業の違い

公務員における退職金の平均額も、民間企業と同じように、勤続年数や退職理由により大きな差が出ます。

内閣人事局の調査データである『令和4年度 国家公務員退職手当実態調査』によると、国家公務員が定年退職した場合の退職金平均額は、勤続年数20~24年で1309万円、25~29年で1663万円、30~34年で1991万円、35~39年で2303万円です。

また、自己都合退職の場合は、勤続20~24年で932万円、25~29年で1367万円、30~34年で1674万円、35~39年で1951万円となっています。

令和4年度 国家公務員退職手当実態調査

地方公務員の退職金の平均は?

総務省の調査によると、都道府県47団体・政令指定都市20団体・市区町村のうち、退職金の平均支給額が最も高いのは市区町村です。

平成29年度における全職種の退職金平均額は、都道府県が約1122万円、政令指定都市が約1426万円、市区町村が約1477万円となっています。

また、全職種における定年退職金の平均は、都道府県が約2219万円、政令指定都市が約2243万円、市区町村が約2083万円です。

定年退職金の平均額は、政令指定都市が最も高く、都道府県、市区町村と続きます。

総務省|給与・定員等の状況|給与・定員等の調査結果等

公務員の退職金は高い!?地方公務員の気になる退職金システム

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