石庭をより深く楽しむボードゲーム&石庭めぐりにおすすめの食どころ
〇「枯山水」ボードゲーム
ボードゲームデザイナー山田空太氏が開発した「枯山水」ボードゲーム(税込8800円)は、東京・三鷹のゲームショップ「テンデイズゲームズ」と共催した公募のゲームコンテスト「東京ドイツゲーム賞」の第一回大賞受賞作品。
苔や砂紋の入ったタイルと、石の配置でいかに美しい庭園ができるかを競う。徳を積むことで欲しい石を獲得したり、他のプレイヤーとの駆け引きや、作庭家カードを駆使して名庭園を作り上げていく。ゲームを通じて作庭を体験でき、石庭の奥深さをより知ることができる。
「2012年に手掛けた最初のボードゲームが枯山水。当時京都に住んでいて、日本庭園を見る機会が多く、石庭に興味があった。得意な分野ということで枯山水をテーマに選び大賞に選ばれたが、当時はボードゲームが今ほど注目されておらず、発売当初はあまり売れなかった。その後SNSで話題になって、2014年に初めて朝日新聞の取材を受けてから、テレビ番組でも次々と紹介されて、初版は完売した。
製品化する際に、石をどうするか議論になった。版元からは石はコストもかかるため、木でもいいのではという話もあったが、自分としてはそこだけは譲れなかった。石膏で石をかたどって作っているが、予算がなかったので、最初は自分たちで石に色を塗って乾燥させ、3万~4万個の石を手作りで制作していた。現在出ているのは外注で作っているものだが、初版の石は手作りなので微妙に色の違いがある」(山田氏)
〇翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都
今回紹介した天龍寺や渡月橋などがあり、名勝として知られる嵐山観光の際におすすめしたいレストランが、「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都」内にある「京 翠嵐」。明治期の歴史的建造物を生かした趣のあるレストランで、四季折々の風情が楽しめる。
総料理長の松勢良夫氏は、フランス料理のシェフとして10年間フランスで研鑽を積んだ後、3年前に総料理長に就任。旬の京野菜を中心に地産地消を意識したメニューで、京のおばんざいにフレンチのアレンジを加えた、イノベーティブな料理を提供している。
今回は「京 翠嵐」でおすすめのコースランチ「彩雅-みやび-」(税別5000円)をいただいた。イノベーティブ料理の代表格としてぜひ味わってもらいたいのが「一番出汁のビーフストロガノフ」。かつお、昆布、牛肉、味噌、トマトの組み合わせで、うまみの相乗効果を味わえる一品だ。トマトがしっかりと利いたビーフストロガノフの味でありながら、うまみも強く感じ、そのままいただいてもご飯にかけてもおいしい。
どの料理も見た目も鮮やか。中でも、小鉢が並び孔雀草が添えられた「八寸」の盆はその華やかさに思わず声が上がったほど。コースの中で個人的なイチオシは「揚煮」(鯛、人参、生姜、堀川牛蒡、聖護院大根、ロマネスコ、水菜)。揚げた真鯛をあっさりとした京風のだしと合わせ、鯛の脂とだしが相まってとても美味。トッピングには、色も歯ごたえも違う野菜を組み合わせ、固さのあるロマネスコは薄切りにすることで、食べやすく食感も楽しめる。
【AJの読み】臨川寺「龍華三会の庭」といった非公開の庭を見られるチャンス
非公開寺院の石庭が見られる今回のイベントの中では、臨川寺が強く印象に残った。「龍華三会の庭」は現代庭園だが、境内全体が石庭と化している様は圧巻で、本堂へ行く場合は庭の端を通っていかなくてはならないほど。臨川寺には禅寺庭園の祖といえる夢窓国師の墓もあり、訪ねた際には手を合わせよう。
枯山水ボードゲームのパッケージにも夢窓国師が描かれており、ゲームで使用する「作庭家カード」には、夢窓国師や前回のイベント記事で紹介した重森三玲のカードも。プレスツアー参加者も4人1組で枯山水ボードゲームを体験、私は名庭園カード「大仙院」の石配置を達成してなんと優勝(笑)。ルールは複雑だが、やっているうちにどんどんハマっていくゲームで、実際の庭園が見たくなること間違いなし。
文/阿部 純子