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圧巻のスケールを誇る臨川寺の「龍華三会の庭」など非公開の京都の石庭を見られる貴重なイベントを開催

2020.01.15

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

 前回に続き、冬の京都の旅におすすめの石庭めぐりのプランや、現地参加イベントをご紹介する。(※掲載の画像は取材のため特別に許可を得て撮影しており、一般は撮影禁止となっている場所もあるので注意)

「京の朝を楽しむ 妙心寺退蔵院坐禅体験と朝がゆプラン」

 京の朝を楽しむイベントで、妙心寺 退蔵院にて石庭の見学と坐禅を体験する。坐禅の後は、精進料理「阿じろ」の朝がゆを提供。身体にやさしい朝がゆメニューは(※時季によってメニューが異なる場合あり)、ほうれん草とゴマの和えびたし、五種盛り、香物、飛龍頭、大根の煮物、湯桶(ゆとう)など。拝観料、坐禅体験代、朝食代込みで税込5500円。2月9日(日)、3月8日(日)、4月5日(日)実施。

〇妙心寺 退蔵院

 全国に末寺が3400箇寺ある妙心寺派の中心が京都 妙心寺。この一帯は花園法皇の離宮だった場所で“西の御所”とも言われる。現在も広大な敷地があり、面積は約10万坪で東京ドーム8個分。境内には46の塔頭があり退蔵院もそのひとつ。1404年に妙心寺の第三世・無因宗因禅師によって創建され、退蔵院は応仁の乱で妙心寺とともに炎上したが、16世紀中ごろに亀年禅師によって再建され現在に至る。

 退蔵院には枯山水庭園の「元信の庭」、昭和に造られた池泉回遊式庭園「余香苑」内に「陰陽の庭」がある。石庭特別イベントでは凛とした朝の空気と共に庭園美を堪能できる。

「元信の庭」

 約500年前の室町時代に画家の狩野元信が作庭した枯山水の庭。寺院の庭は庭師や禅僧が造るものが多いが、こちらは画家が造った珍しい庭園。正面から見て右奥の青い石は滝を表し、滝から川を流れて白い砂の海に流れる様を表現している。中央に亀島、その先に鶴が水を飲んでいる様子を表している鶴島を配している。

 枯山水庭園で水はないが、後方に竹藪があり風が吹くと笹が揺れる音が。それが水を想起させるため、BGMとして笹を使っているといわれている。

「画家は景色を見ながら絵を描くが、元信は頭の中で想像しながら襖絵(妙心寺塔頭の霊雲院に現存。一般非公開)を描き、その絵から庭を作り上げた。襖絵は季節によって変化しないので、この庭も“不変の美”がテーマ。そのためすべて常緑樹を使っている。

 近年は桜や紅葉といった華やかな樹木が好まれるが、それらが楽しめるのはせいぜい2週間程度。だがこの庭は春夏秋冬、いつ来ても変わらず美しい。500年前の人たちの美意識を表したのが元信の庭といえる。

 石庭は雨が似合う。石がしっとりと濡れて光る具合も美しく、今日のような雨模様は石庭を見るには良い条件。鑑賞のポイントとしては座って見るのが良い。また、額中の絵を見る感覚で室内から眺めるのも庭の楽しみ方。

 石庭の砂は白以外のものを使っているところもあるが、お堂の周りに白い庭があると、カメラのレフ板のように陽の光、月の光が反射して明るくなるので、この庭は実用性も兼ね備えて白の砂を使っている」(副住職 松山大耕氏)

「余香苑」/「陰陽の庭」

 余香苑は昭和40年に造られた現代庭園で造園家の中根金作氏が設計。庭園の中心には「瓢鮎図」(後述)にちなんだひょうたん池を配している。余香苑には「陰陽の庭」と呼ばれる二つの枯山水庭園があり、黒い砂の「陰の庭」には8個、白い砂の「陽の庭」には7個、石が置いてある。

「石を合わせた数の15は、七五三、十五夜など、日本では昔から完全を表す数字といわれる。仏教では二元性を超えて、良いも悪いも含めてあるがままに受け取りなさいという“不二”の教えがある。陰陽思想もそうだが、光には必ず陰が伴い二つは切り離せないもの。善悪だけで判断してはいけないという不二の教えを庭で表現するため、敢えて黒と白の庭に分け、両方で石が15になるようにしている」

「元信の庭」は“絵画”として完成されたもので庭に砂紋はないが、「陰陽の庭」は副住職が丁寧に砂紋を描いている。

「石庭には厳密なルールはないが、狭い面積の中で全宇宙を表現するといわれ、砂紋は雲、波を表し、石や苔は山、陸地を表す。実際にやってみるとわかるが、一番難しいのは長くまっすぐな線。余計なことを考えているとすぐに曲がるし、曲がらないように強く意識するとなぜか曲がってしまう。毎日線を引くことで集中力、スポーツでいうゾーンに入る感覚を養うのではないか。砂紋を描くことはいわば“動く瞑想”だと思う」(松山副住職)

 退蔵院には日本最古の水墨画「国宝 瓢鮎図(ひょうねんず)」がある。権力者である義満の息子でありながら禅僧となった足利義持の命により、中国に留学し日本に初めて水墨画の技術を伝えた如拙が描いた。瓢鮎図の「鮎」は日本ではアユだが、中国ではナマズを表す。

 男が持つ小さな瓢箪で大きなナマズをどうやって捕まえるか、という禅問答を描いており、京都五山の高僧31名による答えが上に書かれている。「ナマズはぬるぬるしているので瓢箪に油を塗れば勢いで入るのではないか」、「ナマズを捕まえてお吸い物にして食べてしまえ」など、珍妙な答えが並んでいる。

「物理的には不可能だが、それをどう捕まえるかと考えるのが禅問答の面白いところ。今でも禅僧になる修行の中で禅問答を解いている。悟りを満月とすると禅問答は月をさす指だといわれる。指ばかり見ていても月は見えない。指の方向、つまりこの問題では何が言いたいのかと辿っていくと、その先に大きな満月が見える。

 ナマズの禅問答も、大きなナマズは悟り、大きな夢、人の心などを表し、小さい瓢箪は自分自身、人間を表す。悟りはどうしたら得られるか、大きな夢はどのようにして捕まえるか、その答えは自分の力で導き出せということ」(松山副住職)

 1597年に建てられた方丈(本堂)には剣豪・宮本武蔵も逗留して修行に励んだ。武蔵は瓢鮎図が大好きで、刀の鍔に自身で彫った瓢鮎図が現在も残っている。

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