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圧巻のスケールを誇る臨川寺の「龍華三会の庭」など非公開の京都の石庭を見られる貴重なイベントを開催

2020.01.15

「京の庭を楽しむ 非公開石庭めぐり」

 京都には普段は拝見できない寺院が多くあり、そうした非公開寺院にある石庭を特別に見学できる貴重なイベント。天龍寺の開山堂である臨川寺「龍華三会の庭」と、塔頭の弘源寺「虎嘯の庭」、前回の記事で紹介した重森千靑氏作庭の、東福寺の塔頭 一華院「四季の庭」を訪ねる。京都駅発のバスツアーで、バス代、拝観料、御朱印代込みで税込9800円。2020年3月15日(日)実施。

〇臨川寺「龍華三会の庭」

 元は亀山法皇の離宮である「亀山殿」の一部で「川端殿」と呼ばれ、後醍醐天皇の皇子・世良(ときなが)親王が幼少を過ごした場所でもあった。世良親王は若くして亡くなり、後醍醐天皇の命により、夢窓国師(疎石)を開山として1335年に創立した。

 天龍寺は8回、臨川寺も4回の火災に遭い、現在の臨川寺の建物は江戸期に建てられた。中門にかかる額は足利義満直筆のもの。本尊の弥勒菩薩は、室町時代の創立当時ものではないかとされている。

 本堂にある夢窓国師像は存命中に造られたものではないかといわれ、穏やかな表情が印象的。なで肩だったとされる夢窓国師の特徴をよく表している。本堂の下には夢窓国師の墓所があり、金網を通じて石棺の上にある「蓮華石」を見ることができる。境内には世良親王の墓所もある。

 禅僧である夢窓国師は作庭にも才能を発揮し、西芳寺、天龍寺、等持院(京都市)、瑞泉寺(鎌倉市)、恵林寺(甲州市)など各地に名庭を遺している。臨川寺にも庭を築いたが、数度の戦乱で面影を失い、現在の枯山水庭園「龍華三会の庭」は、日本画家・伊藤 紫虹氏が先々代の管長から依頼を受け作った現代庭園だ。

 中門をくぐると境内いっぱいに枯山水庭園が広がるダイナミックさは圧巻。中央には釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩を表した三尊石、その周りに十六羅漢を配している。作庭した伊藤氏いわく「臨川寺は弥勒菩薩を本尊としており、弥勒菩薩が説法をしている姿を表している」とのことで、こちらの三尊石は中央が釈迦如来でなく弥勒菩薩を表現している。

「平安時代の庭は自然の風景を凝縮して作り、その後、庭が仏教と結びついて、平等院のような庭で浄土を表すようになり、禅と結びついて枯山水のような華美をそぎ落とした庭が生まれた。禅僧にとっては庭も修行の場所。要らないものをどんどんはぎ取り、何が残るのかを悟るため修行をするが、庭も余計なものをはぎ取って、最後は宇宙の骨格となる砂と石になった。禅宗の最後の帰着点が石庭なのではないか」(副住職 阪上宗英氏)

弘源寺「虎嘯の庭」

「虎嘯の庭」は禅寺の庭園の特徴のひとつである借景式庭園。嵐山を借景としているが、天龍寺の塔頭の中でも嵐山全景が見られる庭として知られる。釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩を表した三尊石があり、船石に乗り、悟りの世界である彼岸へ渡る世界観をイメージしている。

 幕末の蛤御門(禁門)の変のとき、長州軍の主力部隊の約1500名の藩兵が、天龍寺山内に駐屯しており、ここから御所に攻め入った。その際に、血気にはやる長州兵がつけた刀傷の跡が残っている。天龍寺は8回火災に遭い、最後に燃えたのは蛤御門の変だったが、弘源寺含めて3軒の塔頭寺院は燃え残ったため、刀傷が今も唯一残されている。

 毘沙門堂は通常は外からの参拝だが、イベント参加者のみ建物内部に入れる(注※2月から奈良国立博物館に毘沙門天立像を貸出するため、イベント日はパネルのみを展示)。

 国指定重要文化財の「毘沙門立像」は平安時代の9世紀の作品。最初は比叡山にあったが変遷を経て、弘源寺の開山である玉岫禅師が迎えたと伝えられている。極端に腰をひねった立ち姿で、このような姿の毘沙門像は他には類を見ないものだという。

 毘沙門堂を再建した昭和47年に描かれた、日本画家の初代藤原孚石氏による天井画も見どころ。四季の草花が描かれた48面の絵画で構成されている。初代孚石氏は京の三大念仏狂言のひとつ「大念仏狂言」で使われる「嵯峨面」を復活した人物として知られる。

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