野菜を買ったはいいものの全部使いきれず、結局、余った部分を廃棄してしまった経験、あなたにもあるはずだ。そんな「食品ロス」を減らすために、各家庭ではどのような工夫がされているのだろうか。また、2019年に特に食べられた野菜とは?
そんな「野菜」にまつわるアンケート調査がこのほど、タキイ種苗株式会社により、20~60代の男女310名を対象に行われたので、その結果を紹介していきたい。
半数以上が「食品ロス問題」を意識!
「食品ロス問題」への意識度について尋ねる調査が行われたところ、「強く意識していた」(11.3%)、「ある程度意識していた」(45.2%)の合計が56.5%となり、半数以上の人は2019年に「食品ロス問題」を意識していたことがわかった。
「食品ロス削減」のため、「食べ切れる量だけ購入」が5割
「食品ロス」の削減のために個人として実践していることでは、「食べ切れる量だけ購入する」(51.6%)が最も多く、半数以上の人が回答した。
特に女性は60.6%と、6割以上の人が食べ切れる量を意識して購入をしていることがわかった。2位は「冷凍保存など、長持ちさせる保存方法を工夫」(38.4%)となり、これも女性では48.4%と、約2人に1人が実践していることがわかった。
4位は「規格外や訳ありのものも積極的に購入する」(28.7%)となり、3割近くの人が、購入する野菜を選ぶ際にも「食品ロス削減」を意識した行動を取っていることがわかる。
また、「特に行っていることはない」(全体:21.3%、男性:30.3%、女性:12.3%)は、全体で2割にとどまり、約8割の人は何かしらのアクションを取っていることがわかった。特に女性は87.7%と、約9割が「食品ロス削減」のために行動していることがわかる。
同質問で、「1食品ロス問題を意識していなかった人」の合計(43.5%)の回答を見ると、そのうち「特に行っていることはない」との回答は39.3%だった。そこから、約6割の人は、意識をしていなくても「食品ロス削減」につながる何かしらの行動を取っていたことが明らかに。
「SDGs」への取り組みが今後ますます社会的に進むにつれて、「食品ロス問題」への意識もさらに高まり、削減に向けたアクションも広がることが期待される。
女性の約半数が「食品ロス削減」のために「バラ・少量」
個人の行動にとどまらず、企業・団体を含む社会全体で取り組む「SDGs」。そこで、「食品ロス削減」について、食品・農業業界の企業や店舗に対して期待することを尋ねる調査が行われた。
1位は「バラ売りや少量での販売」(43.2%)、2位「規格外や訳ありのものの販売」(42.3%)、3位「つくり過ぎの防止」(35.5%)、4位「品質を長期間保てる容器・パッケージなどの開発・採用」(21.9%)となり、上位4つはいずれも女性の回答が多く、特に上位2つは女性の約半数(47.7%/47.1%)が回答しており、期待値が高いことがわかった。
一方、5位「フードバンク(※1)への食品提供」(20.0%)、6位「1/3ルール(※2)の緩和」(16.1%)、7位「フードシェアリングサービスへの参加」(8.1%)といった、これから普及していくと考えられるサービスや制度面での期待は、男性の支持率が高いことがわかった。
2位の「規格外や訳あり品の販売」においては、約3割の人がすでに購入していることが明らかになっており(図2参照)、生活者だけでなく企業や店舗の取り組みも今後さらに期待される。
その他、自由回答では「多段階な見切り品値引きなど、古いものを買いやすくする」(42歳 男性)、「賞味期限の廃止、消費期限の改善」(23歳 女性)、「持ち帰れるようにする」(37歳 女性)、といった声が寄せられた。
「たまねぎ」が1位に返り咲き!2019年、最も食べられた野菜
「2019年に食べる機会が多かった野菜」は、「たまねぎ」(68.7%)が1位に返り咲き、2位「キャベツ」(62.3%)、3位「トマト」(53.5%)となった。トップ3の野菜は、順位の変動はあるものの5年連続でランキング入りを果たしており、「家庭の定番野菜」であるといえそうだ。安定的な人気がわかる結果となった。
4位には、価格の手ごろさや料理への使いやすさからか、「もやし」(50.0%)が 5年間で初めてランクイン。「きゅうり」(49.0%)は昨年に続いて5位となった。
「野菜の値上がり」やや落ち着いた2019年
ここ数年は天候不順により野菜の価格変動が大きくなっている。2018年は記録的な豪雨や災害級ともいわれた猛暑などの影響からか、77.7%が野菜の高騰を実感していた1年だった。
2019年は、野菜の値段感について「例年に比べて高かったと思う」(64.5%)は6割強で、昨年度より13.2ポイント減少する結果になった。約8割が野菜の価格高騰を実感していた2018年と比べると、消費者の2019年の「野菜の高騰」実感は少なかったようだ。
一番人気の「トマト」が、値上がり実感1位に
「野菜の価格高騰」を実感していた人は6割強となったなか、最も「値上がり」を感じた野菜の1位は「トマト」(29.4%)、2位は「キャベツ」(27.1%)、3位は「きゅうり」(25.5%)となった。
「トマト」は、タキイ種苗が2008年より行っている「好きな野菜」の調査で11年連続1位となっている。また、「今年食べる機会が多かった野菜」(図4)でトップ5にランクインした「トマト」「キャベツ」「きゅうり」の値上がりは、購入機会の多さから値段の変動も感じやすかったことが考えられる。
「値段が高くても買う野菜」のトップ3は、「今年(昨年)食べる機会が多かった野菜」(図4)と同様に、1位「たまねぎ」(29.0%)、2位「キャベツ」(25.8%)、3位「トマト」(24.5%)だった。これらは、定番野菜として値段にかかわらず購入したいと思う人が多いことがわかる。
4位は「にんじん」(23.5%)、5位は「じゃがいも」(21.9%)と、根菜類がランクイン。これらも食卓の定番であることがうかがえる。