咄嗟力を身につけると生まれるメリット
咄嗟力を身につけると、大きく3つのメリットが得られるという。
1.ビジネスコミュニケーションの処理速度が上がる
2.ビジネスコミュニケーションの時間短縮につながる
3.相手からの安心感・信頼感獲得につながる
「咄嗟力がなければ、そこで相手との会話のやり取りが終わってしまったり、詰まってしまったりして、次に進むことができません。咄嗟力があれば、会話のやり取りが短時間で終わったり、頭の中の処理速度が上がったりして会話以外にもメリットがあります。プラス、会話の広がりも期待でき、その積み重ねが『○○さんにお願いすれば、迅速かつ的確に対応してくれる』という周囲や取引先などからの安心感や信頼感にもつながるでしょう。
私自身、まったく準備をしていなかった質問がきたときに咄嗟力で対応したところ、『きちんとご自身の考えを論理的に話されていますね』とお褒めの言葉をいただき、ありがたいことに受注につながったこともありました」
咄嗟力は、多様な働き方があり、時間短縮が求められる今の時代に必要なスキルとも言えるかもしれない。
咄嗟力を鍛える方法
そんな咄嗟力、今の自分のレベルは低いなと感じるなら、磨いておいて損ははい。どうすれば鍛えられるだろうか?
「多くの方法がありますが、すぐにできる方法をお伝えします。まずは次の2つを、ゲーム感覚で実践してみましょう」
1)目に見えるものの特徴を、制限時間内に「単語1語で」いくつ言えるか、やってみる。
「例えば、携帯電話の特徴を20秒以内にいくつ言えるかをやってみましょう。『便利』『ケースが赤』『3年使っている』『案外重たい』など、思いつくままに言葉を発します」
2)1を文章としていくつ言えるか、やってみる。
「次にそれを文章にしていきます。文章にするときは制限時間を1分延ばしてみましょう。『私はこの携帯電話を3年以上使っています。』『この携帯電話の会社は○○で、今度は××の会社のものに変えようと考えています。』など」
「見たものを言葉にする、という訓練を積むことから始めていってください。まずは単語でどのくらい出せるかがポイント。あとはそれを素早く文章に組み立てるだけです。何度も繰り返して練習していれば、自然にどんな人でも身につけられます」
業務の合間、帰宅時間、自宅でくつろいでいる時間など、ちょっとしたスキマ時間に練習していれば、咄嗟力を身につけられる。突然の振りに対して完璧な応対ができ、「すごい」と言われるビジネスパーソンになろう。
【取材協力】
加藤 あやさん
Act communications代表。
コミュニケーション・スピーチトレーナー。
年間300日以上のテレビ・ラジオの生放送出演経験を元に、企業や経営者、ビジネスパーソンへ話し方の研修やトレーニングを行っている。「話し方を変えれば人生が変わる」をモットーに日々精力的に活動している。
https://act-communications.jp/
取材・文/石原亜香利