通信は快適だが、まれにトラブルが起こることも……
ところが、いつまで経ってもデータ通信がつながらない。アンテナピクトが立っているため、電波はつかんでいることがわかるが、データ通信がまったく通らない。再起動や、フライトモードのオン・オフを繰り返してみても、結果は変わらなかった。そこで、電話アプリで「##107#」と入力し、電話の発信ボタンを押してみた。これをすると、残高やローミングの残り日数が書かれたSMSが届く。
このSMSを見て原因が判明した。ローミングの残り日数が0日になっていたのだ。システム上、3HKのeSIMでは、初回申し込み時に支払った料金で、自動的に10日間のローミングパックが適用される形になる。筆者のケースでは、なぜかこれが適用されていなかったのだ。仕方がないので、3香港のチャットサポートに連絡。英語で状況を説明した。チャットサポートは24時間空いているため、中国到着後の真夜中に連絡を試みたが、「2〜3時間待ってくれ」と言われたため、そのまま放置して寝ることにした。
サポートに連絡してデータ通信できない原因を報告。手間はかかったが、問題は無事に解決した
翌朝、再びデータ通信を試してみたが、状況はまったく変わっていなかった。やはりローミングパックが適用されていないようだ。再びチャットサポートに連絡して、筆者の使用履歴を調べてもらったところ、専門部署から折り返しの電話をもらえることになった。そうこうしているうちに、お昼ごろ、ローミングパックが適用された旨のSMSが届き、データ通信が使えるようになった。サポートの連絡を受けた専門部署が、裏側でトラブルを解決してくれたようだ。
こうしたトラブルは初めてだが、サポートによると、ローミングパックの適用に時間がかかってしまうことはあるらしい。そのため、できれば設定は現地に着く前に、1日程度の余裕を持って済ませておくようにしたい。現地についてからデータ通信ができないとなると、かなり慌ててしまうおそれがある。特に初めての都市に行くような時は、事前にしっかり準備をしておいた方がいい。
つながってしまえば、あとは快適に通信することができた。ホテル周辺では、40Mbps前後の速度が出て、サイトの表示やアプリのダウンロード、写真のアップロードなどもスムーズだった。ただし、人の多い繁華街では、速度が1Mbps程度になってしまったことも。海外一般に言える話だが、通信環境は日本ほど安定していないため、注意したい。中国限定のメリットとしては、香港を経由するため政府の規制を回避できることが挙げられる。中国の国内回線では、Googleの各種サービスやTwitter、Facebookなどへのアクセスが遮断されてしまうが、3香港ではこうしたサービスにも問題なくつながった。
ホテル周辺では40Mbps弱と、ダウンロードが快適だった。ただし、場所によっては1Mbpsを下回ることも
年末年始に長期休暇を取り、海外旅行に出かける人もいるだろう。3香港のeSIMサービスは、そのような人にうってつけだ。XS以降のiPhoneやPixel 4/4 XLで、かつSIMロックが外れていることが条件になってしまうが、海外旅行時の通信費は大幅に節約できる。多少の手間をかける価値は、十分あるはずだ。
【石野’s ジャッジメント】
ネットワークの安定性 ★★★★
通信速度 ★★★★
設定しやすさ ★★★
コスパ ★★★★★
*採点は各項目5点満点で判定
取材・文/石野純也
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。