滞納金は役所で相談できる
横山さんは、早期に借金を返済しない代わりに、滞納している税金・保険料の支払い計画について、役所で相談するよう二ノ宮さんに話す。
そもそも、役所で相談できることすら知らなかった二ノ宮さん。「よけいに催促されるのではないか、怒られるのではないか」と不安を抱えつつも、役所を訪れる。
二ノ宮さん、滞納金の支払い計画で役所へ相談に(本書82pより)
税制課の係員からは、最初は一括返済を求められる二ノ宮さんだったが、収支をまとめた資料を見せて、分割しながら2年かけ延滞分を完済する計画を相談。役所側の理解を得ることに成功する。
「払うべきお金を滞納するのは恥ずかしいこと、悪いことだと思うと、ついついその事実から目をそらしたくなりがちです。でも、今となっては、相談してみて本当によかったなと思っています。おかげで、滞納金を前向きに返していこうという心境になれました」と二ノ宮さん。
家族マネー会議を開催
家計再生に一段落ついた二ノ宮さんだったが、課題は山積。なかでも大きいのが、「夫婦でお金の話がまったくできない」という悩み。夫婦間でお金に対する感覚にズレがあったり、話すタイミングがつかめなかったりで、夫婦喧嘩に発展することもあるという。
それに対する、横山さんの見解は明快。まず「感覚のズレについては、あって当たり前。無理にすり合わせる必要はないと思いますよ」と言う。「夫婦といっても他人」であることに変わりはないからだ。
ただし、「家族マネー会議の開催」を横山さんはすすめる。これは、月の収入・支出、翌月に欲しいものなどのテーマを、ざっくばらんに話し合う機会。横山さんの家族も、毎月の給料日のあとの金曜日と決めて、この会議を行っているという。きちんと日にちを決めておけば、タイミングが悪いと揉めることもない。
家族マネー会議は開催する日にちを決めておくのが大事(本書118pより)
二ノ宮さんは、料理教室で働く奥さんの給料日の次の休日に、ファミレスでマネー会議をすることに決めた。iPadで作成した収支報告を互いに確認し、家計アプリで資産状況も確認。家計予算と比べて反省会をして、次の月の目標を話し合うといった段取りで、うまくいっているという
数度にわたる横山さんの力添えもあり、二ノ宮家の家計は劇的に改善した。1年余りを経た今は、100万円以上の借金を減らし、毎月の貯金が約50万円積み上がっているという。家族関係も円滑になり、二ノ宮さんは将来への希望も感じる日々を送っている。家計改善によって人生を変えたい方は、本書を参考に実践してみてはいかがだろう。
著者:二ノ宮とのさん プロフィール
漫画家。千葉で妻子3人暮らし。「本当にあったお金のこわい話」で「FROGGY×noteお金マンガコンテスト」グランプリを受賞したのを機に、家計改善や投資について学ぶように。
日興フロッギーやnote、cakesなどのウェブメディアを中心に活躍している。Twitter:@tonotono7777
監修者:横山光昭さん プロフィール
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は23,000件を突破。60万部超の『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)を代表作とし、著作累計330万部を超えるファイナンシャルプランナーの第一人者。
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)