僕はビール党だ。一番好きな銘柄は、サッポロの「黒ラベル」。家飲みの定番だ。外食でも、あれば黒ラベルを選ぶ。とはいえ、1987年のアサヒ「スーパードライ」登場時は、こんなに美味いビールがこの世にあったのかと驚いた。また「エビス」や「プレミアムモルツ」のような豊潤系にのめり込んだ時期もあった。以降「クラシックラガー」「ハートランド」……と、好きなビールNO.1は変遷したが、ここ数年はずっと「黒ラベル」だ。逆に一貫して駄目なのが、発泡酒や新ジャンル。メーカーがビール並みの味とうたう新商品が出る度に期待して飲んでみるが、お安いのは結構ながら響かない。
だが「黒ラベル」に限らず、ビール500ml缶の価格は280円ほど。2本で560円、ほぼ毎日飲むから月に約17000円と、リタイアの財布には痛い。そこで昨今は「黒ラベル」は1本にし、その後はレモンチューハイを作って飲むようになった。コスト削減だ。
焼酎は「亀甲宮焼酎(キンミヤ焼酎)」25度か、宝の「純」25度。まずはスッキリ系の「キンミヤ」、続いて味わいのある「純」にハシゴする。「純」は僕が大学生の時に登場し、オシャレなボトルデザインで“焼酎”のイメージを一新した思い出深い商品だ。
レモンは、当初は生レモンを搾った。だが、輸入レモンより美味しい国産レモンは春夏には市場にあまり出ないこと、その国産レモンは相応に値が張ること、かといって国産を味わってしまうと輸入には戻れないこと等の理由で、いまはレモン果汁を使っている。数種類試した結果、ポッカサッポロの「お酒にプラスレモン」が一番美味しいと思う(国産レモン果汁かどうかは不明)。
氷は市販のロックアイスの方が溶けにくくていい(気がする)が、コストがかかるので水道水→製氷器だ。氷といえば、八つ切りレモンを冷凍庫で凍らせて、氷の役割も担わせるという一石二鳥技がある。さるレモンハイ有名店で初めて飲んで感動した。早速家でもやったが、飲み物に入れるだけに国産レモンを使う。よって、財布に響く。また冷凍レモンが溶けたとて(たぶん)果汁はしみ出ないので、マドラーでつぶす手間がかかる。さらに氷に比べて冷やす力が弱いように思う。というわけで、一時ははまったが、今ではご無沙汰だ。
炭酸水は最強説もあるウイルキンソン。強炭酸を売りにする商品は複数あり、飲み比べたわけではないが、思い込みでウイルキンソン一筋だ。スーパーでは500ミリリットル90円ほどだが、安いネット店では60円くらいなので毎回24本入りを2ケース頼む。
さて話は変わり、台風19号東京直撃かという予報が出始めた10月上旬のこと。これはやばいぞと、カセットコンロ、ガスボンベ、電池、水等の災害対策用品をヨドバシカメラのサイトで買った。その際に、ミネラルウォーター2リットルが6本で618円(10%ポイントが付き事実上556円)と知る。コンビニで売っている500ミリリットルは安くて90円くらいか。だが2リットル6本556円を500ミリリットル換算すると、約23円でほぼ4分の1だ。水がこんなに安く買えるとは知らなかった……。しかもヨドバシなら、お支払い額618円でも総重量12kgの荷物を無料で届けてくれる。
そこで頭に浮かんだのが、ずっと漠然と気にかかっていたあの製品、そう炭酸水メーカーだ。早速sodastream(ソーダストリーム)のサイトを見る。ラインナップはいくつかあるが、1リットルボトルに対応していること、コードは使える場所を限定するので電動ではなく手動であることを条件に、「Spirit(スピリット)」(税込15400円)を購入候補とした。商品特徴に「ペットボトルのゴミ捨てを気にすることなく炭酸水が楽しめて、しかも500mLボトル1本あたり約18円でお得です」とある。ウイルキンソンは60円、18円なら約3分の1で大幅コストダウンだ。
しかしもうひとつ重要なのは、その炭酸強度。レモンハイは、シュワシュワが強くなくてはいけない。商品特徴には「簡単な操作で、楽しく誰でもお好みの強度の新鮮な炭酸水がお楽しみいただけます」とあるが、その強度は飲んでみないことにはわからない。量販店で試飲しようと3度出向いたが、試飲対応のブースはあるものの係員不在で3度とも試飲できなかった。
この製品(というかメーカー)は原則定価販売のようで、値引きは販売店それぞれのポイントがつくだけだ。だがこの時期、僕が使っているアメックスカードはキャッシュバックキャンペーン中で、10月末まで大手4大家電量販店で1万円以上買い物をすると、最大5万円分まで20%CBされる。つまり10月中に買えば約3000円のCBがあり、量販店のポイントもつく。だから強度を確かめずに、買ってしまった。商品特徴に嘘はないはず、と自分を納得させて……。
「スピリット」のスターターセット。左から、ガスシリンダー60リットル用、本体、専用1リットルヒューズボトル、専用0.5Lヒューズボトル。
2ケース買いしたウイルキンソンが底をついた12月頭、初めて「スピリット」を使った。小さい方の500ミリリットルボトルを本体に装着して、マニュアル通り、上面の炭酸注入ボタンを1秒ずつ2回押す。ガスが水に入り泡立つ。さて飲んでみる。何これ? この程度? がっかりしつつ、残りを冷蔵庫に入れた。翌朝、飲んでみる。泡の“あ”の字もなし。いくらなんでも、これはひどい。あまりにもひどすぎて、僕が何かを間違えているのでは? とも思った。