人生100年時代、熟年離婚を妻から言い渡されることが不安な夫は多いかもしれない。長く夫婦円満でいる秘訣として夫ができることを、著名人を含む多くの結婚式を手掛けてきた中、数々の夫婦を見てきた株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ(以下T&G)ウェディングアドバイザー有賀明美さんに聞いた。
「夫婦円満」が長続きしている夫婦の傾向
2019年11月22日、「いい夫婦の日」にちなんで、結婚式プロデュース会社T&Gとニチレイフーズ主催の夫婦関連イベントが開催され、その中でT&Gウェディングアドバイザー有賀明美さんによる「夫婦のあり方」セミナーが開かれた。
この人生100年時代、有賀さんがこれまで出逢ってきた夫婦のうち、夫婦円満が長続きしている夫婦にはどんな特徴があるのか。特に夫の傾向について聞いてみた。
「日本人の場合、男性の方は“思ってるから伝わってるだろう”と、あえて感謝の言葉や『妻のことが大好き』ということを言葉にしない方が大半です。結婚式ではそれを言葉にして伝えましょうとお伝えします。
女性は言葉がないと不安という方が圧倒的に多いです。ちょっとしたときに『ありがとう』、ご飯を食べているときに黙々と食べられるよりも『美味しかったよ』など、何かフィードバックがあったほうが女性って頑張れますよね。盛大なサプライズをする、記念日を祝うことよりも、ちょっとしたときに『ありがとう』と言葉にして言える男性のほうが、夫婦円満になれると思っています」
夫婦円満でいるために夫ができること
長く夫婦円満でいるためには、夫はどんなことを意識して行動・生活するといいだろう。有賀さんに具体的なアドバイスをもらった。
●言葉で伝える・自分なりの答えを出そうとする
「過去にお手伝いさせていただいたご夫婦で印象に残っている方がいます。旦那様は言葉で伝えることがすごくお上手。ドレスを選ぶときも『こっちの方がいいじゃない?』など、すごく一生懸命フィードバックされていて、だからちゃんと奥様から相談もされますし、返事も返ってきますし、キャッチボールの多い夫婦でした。奥様のどのようなお話も一生懸命聞いて、自分なりの答えを出そうとする。目を見て向き合って答えようとするということが、すごく大事なんだなと思いました」
●10分でも会話するだけで妻の活力が増す
「男性は家に戻ると癒しを求めるので、奥様に穏やかにいて欲しいという希望を持ってる方のほうが多いですけど、女性は話を聞いて欲しいという方が多いので、同じ食卓で10分でも会話をするだけで、女性側の日々生きる活力はすごく変わるんだろうなぁと思っています。うちも共働きですが、子どもを寝かしつけてどんなに遅くなったり、忙しくても、5分でも時間があれば一緒に座って『今日どうだったの?』などと聞いたり、主人の方も今日の報告をしてくれたり、1日の報告タイムみたいなものが会話のきっかけになっています」
●直接、対面で向き合う
「結婚式で、牧師さんが聖書の中の引用でおっしゃっていた『どんなに豪勢な食器でご馳走を一人食べるよりも、一欠片のパンを半分こにして向かい合って食べるほうが、生きる上で豊かである』という言葉がすごく沁みたんですよね。向かい合って食べる、会話をする、相手の顔を見て話すことで相手の温度を感じることができますが、SNSだとそこでやり取りが終わってしまいます。そういう観点からも、例えばSNSでのやりとりばかりにならないよう心がけることも大切ですね」
●相手にために自分が変わることができるかどうかが大事
「独身時代、私は猫を飼っていたのですが、結婚した当初、主人はその猫に嫌われていて…。引っ掻かれて噛まれて3ヶ月くらい拒絶されてたんです。でもネットで“猫と仲良くなる方法”などを一生懸命検索した履歴があって、この人と結婚してよかったと思いました。
猫と向き合おうとしてくれた姿勢は、私や私の親、子どもなどの全部にひもづいてくることだと思います。相手のために自分が変われることができるかできないかが大事なことなのではないかと思います。それは男性だけじゃなく女性もですね」