「Alexa、3D音楽をかけて」AIで部屋に最適な音響補正もしてくれるAmazon Echo Studioの驚くべき実力
2019.12.15『Echo Studio』はAIを使って部屋に最適な音響特性補正をおこなう
Amazon.comのAudio Technologyディレクター フィル・ヒルメス氏は、音響補正技術専門の研究をするAudyssyの創業メンバーの1人でもある。ヘルメス氏によれば『Echo Studio』の自動音場補正機能はインパル応答を測定して、DSPを使いタイムアライメントを調整しているという。もちろん周波数特性も補正しているはずなので、『Echo Studio』にはAVアンプと同等の音場補正機能があると考えられる。さらにAIによるマシンラーニングを使って調整の精度を高めているようだ。
冒頭に書いたように、『Echo Studio』は3Way5スピーカー構成。2.5kHz以上を受け持つツイーターと300Hz〜2.5kHzを再生するミッドレンジ、30Hz〜300Hzを再生するウーハーに分かれている。フルレンジ的な役割を果たすミッドレンジは3基のドライバーが左右と上方向に取り付けられる。ツイーターは1基で正面向きに、ウーハーは密閉式で下向きに取り付けられている。駆動するアンプは再生帯域ごとのセパレートアンプで合計330W、驚いたことにDACも3基搭載しているという。Dolby Atmosや360 Reality Audioの信号を3.1.1chに変換することで再生を可能にした。
指向性が狭いツイーターが1基でいいのかという質問に対しては、天井方向の反射も利用してサービスエリアを広げているので問題ないという。逆にミッドレンジの指向性は狭くしてあるそうだ。その音は非常に明瞭度が高く、高域から低域まで端切れが良く、粒立ちのいいサウンド。ハイレゾの特徴を効果的に再生していると言える。2基の『Echo Studio』を使ってDolby Atmos版「マッドマックス怒りのデス・ロード」を再生すると部屋全体に音が広がり、サブウーハーが不要と思えるほどの重低音が再生された。次期モデルではリアから方向感のある音を再生したいとヒルメス氏が語ったようにスピーカー2基ではリアスピーカーまではカバーできないが、音に包まれるサラウンド感は再現された。
音楽に特化した製品だけあって、従来のEchoシリーズ、または他の無指向性Bluetoothスピーカーと比較してもかなりの高音質再生を実現している。ハイレゾ再生対応のスマートスピーカーとしては、ピカイチの高音質と言える。これで2万4980円(税込)はハイコスパ。ハイレゾ音源で再生できるのがFLACのみでDSD非対応というのが惜しい。また、現状ではSONYのハイレゾストリーミング「mora qualitas」は再生できない。
Amazon.comのAudio Technologyディレクター フィル・ヒルメス氏
『Echo Studio』は幅175×高さ206×奥行き175mm、3.5kg。ライン入力と光デジタル入力搭載
『Echo Studio』はDolby AtomsとSONY 360 Reality Audioに対応
Fire TVシリーズと連携させて2基の『Echo Studio』をAV用としても使える
音楽プロデューサー 松任谷正隆氏も登壇、スマートスピーカーの活用法について語った
文/ゴン川野