洗濯物を入れるのは、水を張り洗剤を混ぜてから
ふつう、洗濯機で洗う時、空の洗濯槽に衣類を放り込んで始動ボタンを押すと、水が出てきてあとは全自動で任せきりになる。
しかし、生地を傷めないためには、そこはひと手間かけてほしいという。その理由は水。
「そもそも、水自体にかなり洗浄力があります。洗浄力があるというのは、裏を返せば繊維にとって刺激があるということです。色が抜けたり、縮んだり、痛んだりする原因になります」(本書114pより)
その対応策となるのが、意外にも洗剤だという。「洗剤にはもちろん洗浄成分が入っていますが、しっかり水に混ぜると、衣類を水の攻撃から守ってくれるのです」とのことで、具体的には、いの一番に洗濯槽に水を張る。それから、洗剤を投入し、洗濯機を2~3分回す。そこではじめて、洗濯物を入れて洗濯を開始すると、溶けた洗剤が水から保護され、ふっくらした風合いが保たれるという。
先に水を張り、洗剤を入れると衣類を傷めない(本書57pより)
青空の下で外干しするのは大間違い!?
快晴の日を洗濯日和と呼ぶように、気持ちよい青空のもとで干すのがベストだと当然のように思われているが、プロの世界ではそれは「大間違い」だという。
その理由は、紫外線。特に濃い色のものは紫外線に非常に弱く、晴天時の外干しを繰り返すことで、色があせてしまうという。紫外線が良くないのは、肌だけではないのだ。
そこで、すすめられているのが「部屋干し」。しかも、陽当りの悪い場所でも大丈夫だという。これも単に部屋に干しておけばいい、というわけでなく、幾つかのコツがある。
まずは、部屋の環境づくり。湿度は40%以内、室温は夏場で27℃、冬場で20℃くらい、そして適度な風が当たるのが理想的。こうすれば、(モラクセラ菌など)雑菌の繁殖による部屋干し臭を防げて、乾燥の仕上がりも早いという。
湿度のコントロール(除湿)については、エアコンの機能では不足で、除湿機が「買って損のない投資」だとする。多くの除湿機が販売されているが、アイリスオーヤマなどから出ている比較的安価な除湿機でOKとのこと。
そして、風を生み出すためのサーキュレーターか扇風機。除湿機もサーキュレーターも持っていない場合、サーキュレーター搭載型の除湿機が販売されているので、これが便利でコスパに優れる。
部屋は、効率的に湿度を下げやすいという理由で、狭い所がベター。カビ取りなど手入れをきちんとしているなら、風呂場でもよい。キッチンは食べ物のにおいが付きやすいので避ける。できるだけ高い位置に干し、サーキュレーターの風は衣類の下(裾)をかすめるようにセットする。
『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』の洗濯指南はこれにとどまらないが、できることから習慣づけていけば、クリーニング代を大幅に節約でき、クリーニング店を行き来する時間も浮く。アイロンがけの手間も減り、衣類も長持ちするので、なかなか素敵なライフハックだ。興味をもたれたら、一読をすすめたい。
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)