刑事という仕事をしながら培われたスキルや知識は、一般ビジネスパーソンからすれば特殊なものといえる。その刑事のスキルや知識が昨今、元刑事により、ビジネスパーソンたちに伝授されている。
そこで元刑事で、現一般社団法人日本刑事技術協会の代表理事を務め、経営者の「人の悩み」解決コンサルタントとして講演・研修を多数行う森透匡さんに、刑事時代に得た知識の一つ「人間心理の見抜き方」を教えてもらった。
刑事時代に培われた「人間心理の見抜き方」の知識
●「非言語」のほうが「言語」より正しい心理を物語る
「人間のコミュニケーションには『言語』と『非言語』があり、この二つを上手く使ってコミュニケーションをとっています。しかし、この二つはいつも同じサインではなく、それぞれが異なるサインを出す場合があります。その場合、非言語のほうが正しい心理を物語っているケースが多くあります。何故かというと言葉はウソを言うので当てにならないためです」
●「顔の表情」「目の動き」は心理が出やすいところ
「ですから、刑事も非言語コミュニケーションに注目して、容疑者などの心理を見抜きます。特に『顔の表情』や『目の動き』は心理が出やすいところなので、注目することになります。こちらからの質問に対して顔が赤くなったり、逆に青くなったり、視線を反らしたりというのは何かの心理を物語っています」
●「足の向き」「手」「上半身」にも注目
「また『足の向き』にも注目します。足先は行きたい方向を示します。会話中に足が出口の方を向いていたら『早く立ち去りたい』という心理を表わしていますので何かやましいことがあるのかもしれません。
『手』にも心理が現れます。『手の内を明かす』といいますが、手を広げて話している人は自らの気持ちを正直に語っています。しかし、ウソをついていると手の動きが止まってポケットの中に入れて手を隠したりします。
さらに『上半身』にも注目します。前のめりになるということは、興味の度合いを示します。人間は興味があれば自然と前のめりになるものです。逆に前のめりにならず椅子に深く座っている状態は興味がない、話しに関わりたくないという心理を表わしています。
このように言葉以上に会話をしているのがノンバーバルなのです。私の経験上、言葉以上に真実の会話をしているのが非言語コミュニケーションだと思っています」