休日はLINEを完全無視してもいい?
休日には、仕事関係のLINEは封印して、一切返信しないという人もいる。実際、上司から休日にLINEが来ても、完全無視はありなのだろうか?
「職場において、業務目的のLINEの連絡は、就業時間中のみに限るとするルールがあるなどの事情があれば、休日の連絡については見ないこととすることも可能かと思われます。
他方、LINEを使って緊急の連絡が行われることが想定されているような場合には、完全無視をすると、後でトラブルになる可能性があると思われます。職場の人間関係なども考慮すると、内容を確認のうえ、簡単に返事をしておくことがよいと思われます。
しかし、そうはいっても、休日に上司からの連絡に対応するのは、やはり、部下にとって精神的にも身体的にも負担になるものと思います。
この点、フランスやイタリアでは、法律によって、就業時間外の業務連絡の受領を完全に拒否する権利が労働者に認められています。いわゆる『つながらない権利』が保障されているのです。日本には、『つながらない権利』を保障する法律はありませんが、一部の企業では、就業時間外の業務に関する連絡を就業規則で禁止するなど、自主的な対応がとられています。
厚生労働省の『情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン』においても、時間外や休日・深夜におけるメール等の送信を自粛することを役職者等に命じることが、長時間労働や長時間労働による健康障害防止等を図る方法として、挙げられています。
従業員の長時間労働の抑制や心身の健康確保の観点から、休日を含む就業時間外のメールやLINEなどによる業務連絡を禁止する企業は、今後、増えてくるものと思われます」
休日に上司からのLINEが来て困っている場合には、ぜひ今回の方法を試してみよう。また、頻繁に来る場合は、その対応方法について一度会社に確認することも必要といえそうだ。
【取材協力】
フランテック社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 毎熊典子さん
慶應義塾大学法学部法律学科卒。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、健康経営アドバイザー。ダイバーシティー時代における労務管理や労務リスクマネジメントに関する講演・執筆多数。【主な著書】『これからはじめる在宅勤務制度』中央経済社(2018年7月)
https://www.maikuma.jp/
取材・文/石原亜香利