最近、会社員は、職場の上司ともLINEなどのSNSでつながっていることが多い。そのため、休日に上司から仕事に関するメッセージが来ることもあるだろう。そんなとき、休日なのに返信すべきか、するならどう対処すべきか。また、休日は仕事の話をしたくない場合は? それぞれの上司からの休日LINEへの対応方法について、特定社会保険労務士の毎熊典子さんに聞いた。
年配上司もLINEを使う今「休日のSNS対応」は少なくない
上司から休日にLINEが来て仕事の話をされ、対応を余儀なくされる…。今、そういったケースは決してめずらしくなくなってきているという。
「日本国内におけるSNSの利用者は年々増加しています。2018年末に7,523万人(普及率75%)だった利用者数は、2020年末には、7,937万人(78.7%)に拡大する見込みです。SNSの利用者は、もともと10代~20代の若年層が多かったのが、SNSの利用が当たり前になってきたことで40~60代以上の年齢層にも拡大しつつあります。特に、LINEの利用率は高く、SNS利用者の80%が利用している状況です。
このような状況の中で、職場の連絡ツールとしてLINEが利用されているケースも見受けられます。ただ、SNSは、メールよりも連絡がしやすいという面もあることから、就業時間外や深夜時間帯にもかかわらず、上司が部下に対して、『忘れないうちに』という軽い気持ちで、仕事の連絡をしてしまうことも少なくありません。
上司からLINEで連絡がくれば、たとえ就業時間外であったとしても、部下としては、いわゆる『既読スルー』をするわけにもいかず、何らかの返事を返さざるを得ないと思われます。しかし、そのことにより、プライベートタイムに仕事の連絡をするために時間がとられてしまうだけでなく、せっかくリラックスして過ごしていたのに、仕事モードに気持ちが引き戻されてしまい、心身ともに負荷がかかることになります」
休日なのに上司から仕事に関するLINEが来たときの対応法
実際、休日なのに上司から仕事に関するLINEが飛んできて、急遽、調べ物をしてくれと依頼があったとき、対応すべきか。対応しなくてもいい場合、どのように伝えるべきか。毎熊さんは次のように解説する。
「休日に上司から調べ物の依頼を受けた場合、それが業務命令であれば、部下として対応せざるを得ないものと思われます。そこで、まず、上司に対して、『本日中の対応が必要でしょうか?』と確認し、必要と言われた場合は、『それでは、これから会社に休日出勤して業務を行います』と伝えることがよいと思われます。そして、上司が『そうしてくれ』と言った場合には、休日出勤の業務命令を受けたことが明らかですので、休日労働として対応する必要があります。
他方、『休日出勤するまでのことではない』と言われたら、『それでは休み明けに朝一で対応します』と伝えることで、上司の理解も得られるものと思われます。時間外労働の上限規制が厳しくなっている中で、休日労働の必要があるか否かをきちんと確認することは、上司にとっても、意図しない休日労働を発生させないうえで、大事であると言えます」
上司からのSNSに対応するだけでも「仕事扱い」になる?
休日に上司からの仕事の話のSNSに対応するだけでも仕事をしたという扱いになるのだろうか?
「労働時間は、本来1分単位で計算されるものですので、実際に上司の命令に従って業務を行った場合には、労働時間に当たるものと考えられます。
ただ、LINEの内容を確認して、確認した旨を簡単に伝える程度であれば、労働時間として主張することは、難しいものと思われます」