僕が釣りに行くときは、ほとんどが釣友(であり飲友であり旅友)の正林さんと一緒だ。この正林さん、アマダイをよく釣る。3年ほど前からふた桁以上同釣しているが、毎回僕より正林さんがいい思いをする。それもちょっとやそっとではなく、かなりだ。前回9月終わりの時はまったく釣れない僕が、釣りまくる正林さんの自作仕掛けに変えた途端、釣れるようになった。とはいえ大きいのを釣るのは正林さん、僕には中小型ばかりだった。
11月頭、約1か月ぶりに正林さんとのアマダイ釣行となった。船は葉山・あぶずる港のたいぞう丸、大物狙いの釣り宿で正林さんは50cm級を何度も上げている。3年前に僕の最大サイズ、49cmを釣ったのもこの船だ。ただしその後、40cm超は一度も釣っていない。
今回は釣りの翌日、アマダイを土産にさる友人宅を訪ねる“予定”があった。僕の“実力”では、まず大型は来ない。そこで港に向かう車内で正林さんに、50cm級を釣って僕にちょうだいと“お願い”した。正林さんは釣り人には珍しく、自宅で捌いて食べることはまずしない。なじみの居酒屋に提供したり、その店で調理してもらって食べる。だからたとえ釣果が1匹だけでも、喜んで同釣者にどうぞする好人物だ(と、持ち上げておく)。僕の“お願い”には「自分で釣ってよ。釣りなんて運だからさ」と、余裕の返答がくる。
当日は快晴で暖かく、秋というより初夏のよう。釣り客は平日の金曜日ながら好天のせいか、(たぶん)12名。正林さんが一番後ろでその隣が僕の右舷は、6名とやや混み気味だ。右舷1番前にはアマダイ名人・正林さんが名人と呼ぶ、50cm級をよく釣り上げる常連の超名人の姿が見える。約1時間でポイントの城ヶ島沖に着くと、「潮が流れていますよ(=釣れる確率が高いですよ)」と船長のアナウンス。好釣果を確信し、50cm級ゲットに期待が膨らむ。僕だって、本心は自力で大物を釣りたい。なにせ大物を土産にして驚かれ、「人からもらった」ではかっこ悪い。
好漁を期して、今回は工夫を凝らす。まず餌のオキアミは形がよいものを選び、丁寧に尾をはさみで切る。そしてオキアミの身を締める専用液「エビシャキ!」に浸す。仕掛けは前回釣れた正林スペシャルが全長3mだったので市販3mを購入、定番2mで食いが悪ければ3mにチェンジだ(今回も正林仕掛けに頼るは、釣り師としての抵抗感あり)。実効性は不明ながら集魚効果があるかもと、色違いの光る錘を3種類持ってきた。