選ばれる理由の100位は「買い間違え」?
初めて酢を発売することもあり、同社は市場への浸透と認知を早く図ることを目指した。発売に合わせ、明石家さんまさんをイメージキャラクターに起用しテレビCMの放映を始めた。
しかし、テレビCMの放映だけでは若年層には認知が拡大しない恐れがある。そこで、実施したのが、「だしまろ酢大喜利コンテスト」であった。
「だしまろ酢大喜利コンテスト」は、同社の公式Twitterアカウントをフォローし、お題に対する答と所定のハッシュタグをつけて投稿するもの。4月8日〜21日の間実施され、約1万7000件の投稿があった。
お題は「『だしまろ酢』が選ばれる理由、第1位はこだわりの素材。では100位は?“おもしろい理由”を考えてください!」。候補は複数あったが、回答が出やすいものとして選ばれた。最優秀賞には「買い間違え」が選ばれた。
このほか、11月1日から2020年1月9日まで「だしまろ酢3歳からクッキングフォトコンテスト」、11月15日から12月12 日まで「鈴木さん、すずき(酢好き)化計画」という2つのキャンペーンも始まり、今後も若年層の認知拡大に積極的に取り組んでいく。
レシピ情報は積極的に発信する
また、レシピ情報も積極的に発信するようにしている。現在、同社運営のレシピサイトで公開されているレシピ数は100を超える。レシピは基本的に、同社の営業本部企画課で開発。企画課で一から考案するほか、市販品の営業担当者が小売店のバイヤーや試食販売を担当するマネキンから得たユーザーの活用情報などを元に開発している。
購入者を対象に同社が調査したところ、使い方としては酢の物のような和えるメニュー、ピクルスのような漬けるメニュー、海鮮サラダのような掛けるメニューでの利用が多いことがわかった。なお、同社運営のレシピサイトで最もアクセスが多いのは、鶏肉の照り焼きだという。
「発売時はこんなに使えるとは思っていませんでした。汎用性が高く、これからは減塩を切り口とレシピ提案の可能性も考えられます」と小幡氏。今後もレシピの提案は積極的に行なう考えだ。
和えるメニューの代表「たこときゅうりの酢の物」。レシピサイトのアクセス第2位
掛けるメニューの代表「和ピクルス」。レシピサイトでのアクセス第4位
取材からわかった『だしのきいたまろやかなお酢』のヒット要因3
1.和洋中何にでも使える
だしの風味が強いと和食にしか使いづらいが、風味よりも旨味が強い素材でだしを取り酢と合わせた。酢もフルーティーなりんご酢にし、ゆず果汁もプラスしたことで、だしの風味を抑え、和洋中何にでも使えるようにした。
2.経験、ノウハウを惜しみなく投入
酢を開発するのは初めてだったが、業務用調味料の特注品づくりで鍛えられているため、経験はなくても知識、ノウハウが豊富。これらを惜しみなく投入したことで、和洋中何にでも使える商品に仕上げることができた。
3.便利な紙パックの採用
パッケージには、酢では滅多に使わない紙パックを採用。軽い、収納に便利、使い終わった後の廃棄が楽、といったメリットがあり、利便性に優れていた。
同社の調査では、購入者の97.3%がリピート購入について「是非購入したい」「購入したい」と回答。商品のリピート購入の意向は平均すると70〜80%と言われている中、これほど高いリピート購入意向が出ることは珍しいという。酢の物が苦手だという小幡氏も『だしのきいたまろやかなお酢』でつくった酢の物は食べられるほど。その実力はぜひ、皆さんの舌で確認してほしい。
『だしのきいたまろやかなお酢』のリピート購入意向(創味食品調べ)
製品情報
http://www.somi.jp/dashimarosu/
文/大沢裕司