「我ながら作業スピードが遅い」「効率が悪い」…。数ある仕事の種類の中でも、頭を使って考えることではなく、手を動かす作業が遅く、スピードアップを図りたい。そんな人に向け、パーソナルビジネスコーチのにしい けんさんにアドバイスをもらった。
仕事の作業が遅い人の特徴
まずは客観的に振り返ってみたい。作業が遅い人にはどんな特徴があるのだろうか? にしいさんは次の5つを挙げる。
●いつまでに終わらせるのか、期限を決めないで作業を開始してしまう。
●本人は気付いていないが、実はしきりに作業を中断している。
~メールチェック、トイレ、飲み物を飲む、人から話しかけられてちょくちょく話している等
●机の上やパソコンのデスクトップが整理整頓できていないため、何かを探している時間が多くなっている。
●作業の段取りが悪く、あれこれ手を出してしまい、一つに集中できていない。
●仕事が遅いことを思い悩んでしまいスピードダウン。しかもそれが理由で手を止めてしまうことすらある。
作業面をスピードアップするワザ
心当たりがあれば、逆にスピードアップのチャンス。次のことを実践してみよう。
1.いつまでに終わらせるか、期限を決めてから着手する
「遅いのはゴールが決まっていないことがとても大きいです。明確に今日の何時までにどこまで終わらせるかという期限を決めてから着手すると、自然とそのゴールに向けて集中して取り組むことができます」
2.集中の妨害となりそうな要素をあらかじめ遠ざけておく
「何時までに集中して終わらせる!と決めたら、部屋のドアを閉めておく、スマホの電源を切っておくなど、妨害となりそうな要素をあらかじめ遠ざけておきましょう。会社の場合は、周囲に『何時まで、立て込んでるから』などと一言言っておくなどするのもいいでしょう」
3.タイマーを使ってその作業にだけ集中する
「1時間、30分、15分など、短い時間内で終わらせたい場合には、タイマーを使って決めた時間はできる限り、その作業にだけ集中するようにしましょう」
4.集中できる音を聞きながら作業する
「音を聞くと集中しやすくなることがあります。好みにもよりますが、集中しやすいのはアップテンポな曲。意外とおすすめなのが『雨音』です」
5.作業する段取りをあらかじめ決めてから着手する
「作業の前には、時間だけでなく、作業の手順や内容などの段取りをすべてあらかじめ決めてから着手すると、その段取り通りに進行することができるため、迷いがなくスムーズかつスピーディーに作業ができます」
6.普段から作業を効率化できるツールなどを準備しておく
「いざ作業を集中的に行うときのために、普段から作業を効率化できるツールなどを準備しておくのをおすすめします。例えば、文章作成であればコピペで使える文章フォーマット、デザインであればデザイン用テンプレート、Excelなどの表計算ソフトを使用するのであれば繰り返しの作業が楽になるプログラム、Excelマクロなどが考えられます」
にしいさんによれば、作業のスピードアップ全般に共通するポイントは、「一つの作業にだけ集中できるように、あらかじめ環境を整えて、一気に終えてしまうこと」だという。
ポイントは、「集中できる環境」と「中断せず一気に終える」の2つ。ぜひ今日から実践してみよう。
【取材協力】
にしい けんさん
パーソナルビジネスコーチ。1973年大阪府生まれ。大阪大学大学院電子制御機械工学専攻修士課程修了。富士通株式会社に勤務後、WEBデザイナーになるため転職。人間中心の設計手法を学び、大企業のWEBサイトの設計やディレクションを多数手掛ける。現在は、これまでの経験を生かしつつ、人のコミュニケーションや能力発揮をテーマに、執筆や教育活動を精力的に行う。
https://www.kenny-west.com
取材・文/石原亜香利