パフォーマンスや、iPad OSの使い勝手はどうか
第7世代ではあるが、チップセットは第6世代と同じ「A10 Fusion」。iPhoneで言えば、「iPhone 7」に搭載されていたものだ。約3年前に販売を開始した端末に搭載されていたチップセットだが、パフォーマンスは悪くない。グラフィックスに凝ったゲームも十分動くし、SmartKeyboardで文字を入力するようなOffice系アプリやテキストエディターであれば、まったく不満は感じられない。とはいえ、他の現行モデルと比較すると、やや動きがゆったりしているようにも感じる。
参考程度に捉えてほしいが、ベンチマークアプリの「Geekbench 5」で取ったスコアは以下のとおり。チップセットが同じため、当たり前と言えば当たり前だが、結果はCPU、GPUともに、ほぼiPhone 7と同じスコアになっている。スペック面で注目したいのは、メモリの容量。第6世代までは2GBだったのに対し、第7世代は3GBにアップした。これで、マルチタスクが強化されたiPad OSを快適に動作させている。実際、第7世代iPadはiPad OSをプリインストールして出荷しているが、動きのスムーズさに関しては、他のiPadと大きく変わることはなかった。
それぞれCPUのシングルコアスコア、マルチコアスコアと、GPUのMetalスコア
そのiPad OSも、それまでのiOSと比べ、使い勝手が向上している。一言で言えば、「よりPCらしくなった」のがiPad OSの特徴。例えば、サブのウィンドウでアプリを表示できる「Slide Over」は、ウィンドウの下を左右にフリックするだけでサクサクとアプリを切り替えられるようになり、素早くアプリ間を行き来できる。画面を分割する「Split View」は、同じアプリの同時表示に対応した。ファイルアプリで、ZIPの圧縮・解凍ができるのも便利だ。細かな点ではあるが、一部の純正アプリで、スクリーンショットの全画面取得が可能になっているのもうれしい進化と言える。
複数のウィンドウをSlide Overで開いた時、切り替えがスムーズ
縦長のサイトなども、丸ごとスクリーンショットとして保存できる
これだけの機能がそろったiPadが、わずか3万4800円からというのは破格と言える。第6世代と比べ、価格は3000円ほど下がっており、お買い得感がさらに増した格好だ。一方で、Apple PencilやSmartKeyboardまで買い足していくと、合計の金額は6万円を超えてしまうのが悩ましい。慎重を期すなら、まずiPadとApple Pencilだけ買い、キーボードはより安価なサードパーティ製のものを追加すればいいだろう。もちろん、コンテンツビューアーとしてのタブレットがほしければ、本体だけで済む。いずれにせよ、組み合わせが増えたことは歓迎できる。第7世代iPadは、手軽に購入できるタブレットの、有力な候補と言えそうだ。
【石野’s ジャッジメント】
質感 ★★★★
持ちやすさ ★★★★
ディスプレイ性能 ★★★★
UI ★★★★★
撮影性能 ★★★
音楽性能 ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★
生体認証 ★★★★
バッテリーもち ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定
取材・文/石野純也
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。