水風呂にダチョウ倶楽部が降臨する時
この水風呂が銭湯の水風呂にしては広いの。足を伸ばして大人が二人は平気で入れる。水温は21度くらいでキンキンというわけではないけれど、もう充分ですよ。
なにしろ水風呂がキンキンじゃなくても、ちょっとした工夫で体ってよく冷えるからね。
オレがキンキンではない水風呂で体をよく冷やす為にやる方法は、“わきあいあい”だ!
熱中症になった時は、とにかく首の回り、脇の下、股の付け根という太い血管が通ってる三点を冷やすとイイってよくいうでしょ? だから水風呂でもその3点を冷やすに限るんだけど、首の回りと股の付け根は、水の通りがいいというか、なにもしなくても水にさらされてる表面積が広いからいいとして、問題は脇の下なんすよね。
あの部分って、腕と脇の両方の皮膚から挟まれた場所だから、水も沈滞しちゃうし、その沈滞した水もすぐにヌルくなっちゃう。それどころか、普通にしてると脇の下ってついつい閉じちゃうから、水に触れてなかったりすることすらある!
そんな3点の中で一番冷えにくい場所も冷やして、三点攻めにするワケだ! 水風呂もエロも、一番効くのは三点攻めなのだ!
そんな脇の下を冷やす方法として、オレが行う“わきあいあい”は、あのダチョウ倶楽部の「みんな仲良く、わきあいあい」っていうギャグの時のポーズ。 肘を曲げた上腕部を開いたり閉じたりするあの動き。あれを水中でやる。
すると脇の下に新しい水が入っては出、出ては入り、本当にヒンヤリしてくる。すると体と水も一体化し、文字通り“わきあいあい”な気分になってくる。
ま、この方法はこの銭湯に限らずどこでも使えるんだけど、この銭湯のすごいことがもうひとつある。体を洗うブースがちゃんと衝立で隔てられてるのね。これ、銭湯では少ないですよ。
ほら、たまにいるじゃん。回りにバンバンお湯をまき散らしてシャワー浴びてるヤツ! ああいう無粋なバカの迷惑を被ることがここでは極力抑えられる。
「キ〜ッ!!」なんて、お湯かけられてムカムカすることもなくなり、心は穏やか、ますますわきあいあいである。
となると、水風呂でやる“わきあいあい”も、おのずと心がこもってきますよ。
あ、大田区の多くの銭湯の定番である黒湯の温泉浴槽もあるしね。こんなわきあいあいサウナに地道に通う。それって一番幸せだなァ…。
文/カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。