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【開発秘話】累計販売10万台を突破したアイリスオーヤマの「極細軽量スティッククリーナー」

2019.10.16

コストを下げるため紙パックも自社生産

 こだわったところは、このほかにもある。まずは重量。パワーヘッド搭載モデルとしては当時の業界最軽量を実現。また、同社では初めて、小型でパワフルなDCブラシレスモーターを採用し、同社従来品比で3倍もの吸引力を実現した。

 しかし、機能やスペックが向上すると、その分コストがかかり、販売価格を上げざるを得なくなる。値ごろ感が薄れることからコストダウンも徹底した。外装などの成形品は自社内で製造し内製化比率を高めたほか、塗装も自社で実施。「電気部品以外は自社でつくっています」と河阪氏と話す。

 吸い込んだゴミをためる紙パックも自社生産だ。同社が中国で不織布とそれを使ったマスクを生産していることから実現した。高機能タイプの中には購入時に80枚近くも付属するものもあるので、一般家庭なら3年程度は購入しなくても大丈夫だという。

サイクロン式よりも紙パック式の方が優位と判断

 ところで、「フラッグシップモデルで紙パック?」と思わなかっただろうか? 高機能な掃除機だとサイクロンを思い浮かべる人も多いはず。同社でもサイクロン式の掃除機を開発・販売しているが、紙パック式を採用したのは次のような理由からだった。河阪氏はこう話す。

「同じ出力のモーターで比較すると、サイクロン式より紙パック式の方が吸引力は高いです。サイクロン式は風を回して遠心分離を起こすことでゴミと空気を分けますので、吸引時のロスが大きくなってしまうからです。また、サイクロン式には2段遠心分離と1段遠心分離がありますが、1段遠心分離だとフィルターが目詰まりしてしまい、水洗いしないと吸引力が回復しません。これに対し紙パック式は、ゴミがたまり吸引力が落ちれば交換するだけで回復し、フィルターを洗ったりする手間が不要です。自分が使ってみても、紙パック式の方が使いやすいという印象を持ちました」

高機能タイプと上重心タイプはヘッドも異なる

 過去の経緯もあってか、社内で提案したときの反応は「モップはおまけ程度」と冷めたもので、褒められた感じではなかった。おまけではないことをわかってもらうため、開発部門から広報と販促物をつくる部隊に、「静電モップクリーンシステム」をアピールしてもらえるよう働きかけたという。

 2018年6月に高機能タイプが発売されると、テレビCMの放映や多くのメディアで取り上げられた効果で、広く知られるところとなった。

 発売から半年後の2018年12月に、上重心タイプが発売になる。高機能タイプの発売を間近に控えた頃に構想されたものだという。

 高機能タイプと上重心タイプは重心の位置だけでなくヘッドも異なる。高機能タイプはパワーヘッドに独自開発のサイクロンストリームヘッドを搭載したサイクロンパワーヘッドを採用。前方のパワーヘッドはカーペットなどにからまった細かなゴミをかき出し、後方のサイクロンストリームヘッドは真空度を高めた吸引口で高速回転するサイクロン気流を発生させることで砂などの比重の重いゴミまで浮き上がらせて吸い取る。いっぽうの上重心タイプは、サイクロンストリームヘッドは省略。その代わり、高機能タイプよりパワーヘッドの自走感を高めた。

高機能タイプのヘッド。パワーヘッドの下にあるのが、独自開発のサイクロンストリームヘッド。左右両端の絞られたところで空気を縦回転させ、生まれた気流でゴミを浮き上がらせてゴミを吸い上げる

上重心タイプのヘッド。パワーヘッドはパッと見ただけでは高機能タイプとの違いがわかりにくいが自走感を高めている。サイクロンストリームヘッドが搭載されていないこともわかる

 ヘッドも変更したのはなぜか? その理由を河阪氏は次のように話す。

「重心が上にあると、掃除機の重さのほとんどが手元にかかってきます。重さを手に感じさせないようにするため、上重心タイプは高機能タイプよりヘッドの自走感を高めることにしました」

取材からわかった『極細軽量スティッククリーナー』のヒット要因3

1.高い利便性

 床掃除をしながらモップを使った掃除が可能。掃除機では対応しづらいところをモップで掃除できるので、既存の掃除機より利便性が高い。

2.モップが実用的

 付属のモップはおまけ程度のものではなく、特殊な繊維を使って開発された繰り返し使えるもの。柄を伸ばせば手の届かない高所も掃除できるなど、実用的であった。

3.値ごろ感がある

 開発にはコストがかかったがコストダウンを徹底。機能の割に販売価格を抑えたことで(高機能タイプの場合、同社公式通販サイト『アイリスプラザ』で2万3800円。2019年10月12日時点)、値ごろ感を打ち出すことができた。

 これまでの掃除機にないユニークさに、ユーザーの多くから「アイリスオーヤマらしい」という声が聞かれるそうだ。開発者は生活者でもあり、ユーザー目線で商品開発をすれば、かゆいところに手が届く便利な機能を発想できるというわけである。

製品情報
https://www.irisohyama.co.jp/super-light-stick-cleaner/
https://www.irisohyama.co.jp/ultrafine-light-stick-cleaner-kic-sldcp6/

文/大沢裕司

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