PowerPointの資料作成時には、情報収集の必要性を感じながらも、なかなか自分が求める情報が得られなかったり、面倒さを感じたりすることがあるかもしれない。
元外資系コンサルの企業に勤めていた資料作成のプロ、松上純一郎さんによれば、PowerPoint資料作成の情報収集には大原則があるという。その大原則ルールの主なものを聞いた。
スライド情報は2種類!
前提として、PowerPointで作る資料のスライドには、主に2種類の情報があるという。
1.詳細情報型
スライドメッセージを詳細に説明するための型。計画書や報告書に多く使われる。
例)「あるプロモーションを計画期、準備期、実施期の3つのステージに分けて実施していく」という場合、スライド情報には計画期、準備期、実施期それぞれに取り組む内容を記載。
2.根拠型
スライドメッセージの根拠を説明するためのスライド型。企画書や提案書に多く使われる。
例)「無料お試しキャンペーンが最も効果が高いと思われる」という場合、スライド情報には「無料お試しキャンペーン」とその他のプロモーション案と比較した結果を記載。
「こうした2つのスライド型があるのを踏まえた上で、スライド情報の仮説を作っていきます」
情報収集のポイント
松上さんは、仮説ができたら、次はその仮説に沿って、情報収集していくのを進める。これなら、闇雲に情報収集するよりも効率がいい。
その情報収集には、さらにポイントがある。いくつか重要になることを見ていこう。
●情報収集の計画を立てる
「情報収集といってもインターネットや資料、文献だけでなく、インタビューやアンケート調査など手段は複数あります。時間効率化のためにも必ず 情報収集の計画を立てましょう。また情報収集は、ダラダラと時間を浪費してしまうケースも多いため、時間の管理もしっかり行いたいですね」
●情報収集方法は大きく分けて3つ
「情報収集方法を分類すると、1.人に聞く、2.社外の情報を収集する、3.社内の情報を収集するの3つがあります」
●最初に必ずその分野に詳しい人にヒアリングする
「情報収集は、まずはじめに必ず1の人に聞くから始めるのをおすすめします。主に社内の人で、前にその分野の情報収集をしたことのある人に、書籍やウェブサイトの情報を聞き出します。資料作成を頻繁に行うコンサルティングファームでは、『○○業界に詳しい人はいませんか?』などのメールがよく飛び交っています」
●社外の情報収集の種類
「社外情報収集は、主に競合企業や市場情報を集めるために行うものです。インターネット検索、企業のサイト検索、文献検索、記事検索、統計情報検索、民間情報サービス検索、専門家ヒアリング、消費者定量調査、消費者定性調査などがあります」
●社内の情報収集の種類
「自社の情報を集めるためには、自社の財務データや商品・サービス情報、顧客情報などを入手します。種類としては、財務データ収集、社内資料分析、ヒアリング調査、社内定量調査などがあります」
●インターネット検索では「PDFファイル」を活用して信頼性の高い情報に当たる
「Google検索で、より信頼性の高い情報に効率的に当たるためには、filetypeのコマンドを使って『PDFファイル』や『Excelファイル』を当たることが有効です」
【filetypeのコマンド】
「filetype:ファイルの拡張子 検索キーワード」をGoogleの検索窓に打ち込んで検索。
例)「filetype:pdf 電子書籍市場規模」
PowerPoint資料作成のための情報収集は、とても重要なフェーズ。これらのポイントで、効率的に情報収集を行おう。
【取材協力】
松上 純一郎さん
米国戦略コンサルティングファームのモニターグループで、外資系製薬企業のマーケティング・営業戦略、国内企業の海外進出戦略の策定に従事。現在は独立し、企業への中期事業計画策定等のコンサルティングを提供する一方で、今までの経験を活かして資料作成講座を開く。著書に『Power Point資料作成 プロフェッショナルの大原則』(技術評論社)がある。
ストリートアカデミー講座ページ
https://www.street-academy.com/steachers/15463
ストリートアカデミー
教えたい人と学びたい人をリアルにつなぐスキルシェアサービス「ストアカ」を運営。法人向け講師派遣サービス「オフィスク」や定額プランも開始した。
https://www.street-academy.com/corporations/office/
取材・文/石原亜香利