最強の温泉スナック用ガジェットとは!?
席に座ると、店頭に料金システム説明してあっても、初めての客と見ると、今一度料金システムを、「飲み放題はウイスキーか焼酎を選べます」なんていう追加情報込みで説明してくれる。こういう店はますます安心である。
ここで温泉スナックならではの裏技っていうか、王道技!
スナックに行く時は、温泉の浴衣を着て行った方がいい。だって、もうその身なりで“この近くの旅館に泊まっていて、スナックに呑みにやってきました”という自分がどんな状況でこのスナックで来たのか? ってことを会話でなして説明してくれるんすから。
最近はそういう浴衣の旅館も少なくなったけど、旅館名が入った浴衣だったら、どこに泊まってるかまでわかる。すると、
「○○旅館さんに泊まってるのね〜」
なんて会話もスムーズだ。近所の旅館に泊まっているということは、ネグラを申告してるわけで、「呑み逃げしません」という、店にとっても、その見も知らずの客の安心保証を受け取るようなことにもなる。
ついでに「旅館の人にこの店教えてもらいました」なんて一言いうと、店としても“あの旅館に泊まってる、このお客さんに喜んで帰ってもらったら、その話が旅館に届き、またウチのスナックを紹介してくれる”って思うだろうし、「いやな思いをさせたら、旅館の人に迷惑かかる」とも思うだろうから、絶対接客もよくなる。
あと、オレは着なかったんだけど、冬は丹前、春秋は袖なしのちゃんちゃんこみたいなのも浴衣と一緒に旅館に用意されてるじゃない? あの袖無しのちゃんちゃんこ。オレはその夜、それを着ないで浴衣だけで行っちゃったんだけど、あれ着ると陣羽織みたいで威厳が出てカッコいいね。
アレ着てる他のお客さん見て思ったんだけど、いきなり風格がでる。で、今、あのちゃんちゃんこみたいなの服の正式名称を旅館用浴衣とかの専門店のホームページで調べたら、本当に“陣羽織”っていうのね! ちなみに袖があるのを“茶羽織”と呼ぶらしい。知らなかった…。
なんで浴衣と陣羽織でいくのが、身分保証プラス押し出しという意味で一番いいと思う。オレも今後そうする。
で温泉スナックといえばカラオケですよ。みんなカラオケしにくるんだから、スナックって。ここで初心者のみなさんが一番悩むのは何歌っていいか? なんですよね。でも基本的に街のスナックもそうだけど、これは何歌ってもいい!
ただ、できれば一曲目は誰でも知ってるような曲にすると一気に場に打ち解ける。他のお客さんも、一見だから、みんなで店に溶け込もうと心の中で思ってるのが温泉スナックなんですね。だから他の人の歌にも手拍子したり、特に最初の内は気を使ったりもしてるんですよ、みんながみんな。
そんな時に聴いたこともない歌歌われると「この人の方がオレたちを拒絶してるんだろうか?」と疑心暗鬼になる。それを防ぐ為にも、一曲目くらいは誰でもでも知ってそうな歌を歌う。
さすれば、たとえ初めてスナックに来た人間でも、歌い終わったその瞬間に、スナックは本当の憩の場となるのだった。
ちなみにワタシが初めての店で一曲目に歌う歌は、たいてい鳥羽一郎先生の『兄弟船』です。
以上。
文/カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。