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納豆アレルギーのある人は過去にクラゲに刺された経験がある可能性

2019.10.05

マリンスポーツ好きは、納豆アレルギーが多い?

最初に「納豆アレルギー」を報告した横浜市立大学病院によれば、受診した人の内約70%がサーフィン愛好者で、ダイビングや潜水士などを合わせるとなんと82.4%にマリンスポーツ歴がありました。

「納豆アレルギー」と海に関連があるのではと疑われていた時に偶然、冷麺に含まれていた「中華クラゲ」を食べた人に同様の症状が出て、納豆とクラゲに関係があることがわかってきました。

文章だと簡単にわかった印象を受けるかもしれませんが、医療の現場で「①発生した症状②食べ物③趣味や仕事」を正確に結び付けて考えた医師たちの慧眼は称賛に値するでしょう。

マリンスポーツ愛好者は海の中で過ごす時間が長く、「クラゲ」に刺される機会も多いです。クラゲに皮膚をたびたび刺された人が、その後に特定の食物で反応することを「動物刺傷による経皮感作」と呼び、ほかにも「ダニと肉が関係するアレルギー」などもわかり始めていますが、詳しいメカニズムはまだまだ判明していません。

<ゴールデンジェリーフィッシュ(C)Go Nagai>

「クラゲ」は毒素を持つ触手により、刺された部位の腫れだけでなく、呼吸困難など命に関わることもあります。日本のクラゲは海外に比べると毒性が低いと言われますが、カツオノエボシやハブクラゲなど種類によっては死亡例が報告されています。

アレルギーには関係なくても、海でクラゲにちょっかいを出したり、不用意に触れることは避けた方が良さそうです。

納豆の「糸」が怪しい? クラゲと納豆に共通する物質PGA??

クラゲと納豆は、人間が口にするという共通点はあっても、動物と植物加工品で、生物学的にはかなり遠い生き物です。名前は似ていますが「キクラゲ(木耳)」はキノコの仲間で、クラゲではありません。

クラゲと納豆という関係のない2者を結ぶのが、「納豆アレルギー」を起こす「PGA(ポリγグルタミン酸)」という物質です。

クラゲが対象物に触ると、触手にある刺胞の内部で「PGA」が産生され、刺した相手に毒素を打ち込むために役立ちます。

<ゴールデンジェリーフィッシュ(C)Go Nagai>

納豆には、ネバネバ成分である「糸」が約0.1~0.8%含まれています。この「納豆の糸」に含まれる成分が、クラゲと同じ「PGA」です。

クラゲと納豆には「PGA」を作り出す意味で、アレルギーを起こす共通点がありました。

食べた後、腸の中で「PGA」はゆっくりと時間をかけて放出されて、体内に吸収され、アレルギーを引き起こします。放出と吸収に時間がかかることが、「納豆アレルギー」が摂取からおよそ半日後に症状が現れることに繋がっていきます。

「納豆アレルギー」というよりは、「納豆の糸アレルギー」と呼ぶ方が良いのかもしれませんね。

納豆を食べなければアレルギーが出ないのか??

食物アレルギーは、原因物質との接触を避けることが非常に重要です。私は大好きなので、毎日食べていますが、納豆はその独特な匂いや風味から、好き嫌いが分かれ、口にしない人もいますよね。

「納豆アレルギー」は、納豆を食べなければ症状が出ないと思いませんか??

納豆の糸とクラゲに共通する「PGA」は、口からカラダに入ってから徐々に放出される機能<徐放性>が活用され、お薬や健康食品、化粧品にも含まれていることがあります。鶏卵や牛乳や小麦など3大アレルギーに比べれば、「納豆アレルギー」の頻度は低いと考えられます。ただし、アナフィラキシーという激しいアレルギー症状を起こしやすいこと、摂取から半日程度経って症状が出るため、原因を見落としやすいことから、油断はできません。

今回は、納豆アレルギーとクラゲの関係についてご紹介しました。

日本には納豆メーカーが200社以上あり様々な製品がある上、クラゲも日本近海だけで数百類と多種多様です。現在「納豆アレルギー」に関する報告や研究が限られていますが、意外なアレルギーがあることを、皆さんに知っていてほしいと思います。

写真撮影・協力: 水中写真家Go Nagai

文/倉田大輔(池袋さくらクリニック 院長)

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