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スピーカーのタイプを示す数値「インピーダンス」って何?

2025.01.02

上質なサウンドを楽しむための大事な要素として「インピーダンス」というものがあります。本記事では言葉の解説やスピーカー選びの基準について紹介していきます。

オーディオを納得のサウンドで楽しむには、いくつかの気にするべき点があります。インピーダンス(Ω)も大切な要素の一つです。

あまり馴染みがない言葉かも知れませんが、音質に与える影響が大きいインピーダンスについて、理解を深めておきましょう。

インピーダンスとは何?

より良いサウンドを手に入れるために、スピーカー選びを慎重に行う人は多いものです。種類によって、スピーカーとしての働きも異なります。

スピーカーの性能を表すものに、その数値を『Ω(オーム)』で示す『インピーダンス』があります。カタログや商品紹介サイトでスペックを調べていると、目にしたことがあるでしょう。

このインピーダンスについては、やや専門的に思え、分かりにくいと感じられる部分がありますよね。インピーダンスとは、どのようなものなのでしょうか。

インピーダンスは「電流を流れにくくする力」を意味する

インピーダンスとは、『交流電流を流れにくくする力』のことです。そう説明しても、まだ分かりにくい所があるでしょう。

まずは、「電圧」「電流」「抵抗」の3要素を理解しよう

理科の授業で「オームの法則」を習ったことを覚えていませんか? 簡単にご説明すると、「電流は電圧に比例する」という考え方であり、電気回路における「電圧」(V)と「電流」(I)、「抵抗」(R)の関係を示します。

この関係は数式

V=I×R

となります。これがオームの法則の基本式です。つまり電圧は電流と抵抗を掛けた数値(積)になるのです。

これを電流(I)を求める式に表すと、

I=V/R(V÷R)となり、電流は電圧を抵抗で割った数値(商)となります。

まとめると、大きな電流を流すためには、

1.電圧を高くする
2.抵抗を低くする
3.電圧を高く、抵抗を低くする

のいずれかの方法になるわけです。

ちょっとややこしくなったかもしれませんが……簡単に言うと、大きな電流(音)を出すためには、電圧を上げるか抵抗を低くすればいいわけです。

改めて、スピーカーで重要なインピーダンスとは?

さて、中学校の理科の授業のようになってしまいました。ここで改めて、インピーダンスに話を戻します。

ここでご紹介する、スピーカーのインピーダンスについてご説明する範囲では、抵抗とインピーダンスはほぼ同義であると考えていただいて差し支えないかと思われます(厳密には異なりますが……)。

つまり、インピーダンスの数値が高いほど抵抗が大きく、反対に低ければ小さな抵抗になります。これを言い替えると、インピーダンスが低いと電気信号が流れやすくなり、高ければ流れにくくなるのです。

スピーカーの音質・音量との関係性

インピーダンスは、スピーカー選びに大切な要素です。そのため、音質と関係があるように考える人もいます。しかし、インピーダンスと音質には関連性はありません。

Ω(オーム)の高低は、高音域が美しい・重低音に迫力があることとは本来無関係です。それよりも、音量の大小と関係してくるものなのです。

同じアンプから出力したとすると、インピーダンスの低いスピーカーだと大きな音量が出やすくなります。なぜなら、電気信号の抵抗が小さいので、信号が流れやすくなるからです。

その結果、大きなパワーを獲得できます。そこで得たパワーによって、音量が大きくなるという仕組みです。

インピーダンスでスピーカーを選ぶ際の基準

インピーダンスは、電気信号(交流)に対する抵抗、つまり電気信号の流れやすさを示す数値です。前述の通り、インピーダンスは音質には直接影響を与えません。

しかし、スピーカー選びでインピーダンスを考慮しなくてよいということにはなりません。なぜスピーカー選びにインピーダンスの確認が大切なのでしょうか。

1.手持ちのアンプにスピーカーが対応するか

スピーカー選びの際に注意したいことは、アンプとの兼ね合いです。インピーダンスの数値は、スピーカーだけでなくアンプにも記載されています。

スピーカーとアンプ、それぞれのインピーダンス値を把握することが大切です。アンプが既にある、今までのアンプを使用するという場合は、新たなスピーカーが対応するかしっかり確認しましょう。

後述しますが、アンプとスピーカーそれぞれのインピーダンス値の組み合わせによって、スピーカーが果たす役割が違ってきます。そのため、お互いの数値を理解しておくことが重要になるのです。

2.数値が低い接続のメリット

インピーダンスが低いスピーカーをインピーダンスの高いアンプと接続する時には、どのようなメリットがあるのでしょうか?

最大の利点は、アンプの出力が弱い場合でも、大きな音量が出せる点にあります。

例えば、カーオーディオなどは小型で設計することが求められます。併せて、インピーダンス・出力ともに低いアンプを使用するケースが多くなるでしょう。

そのアンプにインピーダンスの低いスピーカーをマッチングさせることによって、アンプの性能と比較して、大きな音量を出すことを可能にします。

先述した、『アンプのインピーダンス値との組み合わせでスピーカーの果たす役割が変わる』とは、このような意味です。

数値が低い接続のデメリット

アンプの電気信号(電流)が低くてもスピーカーから大きな音を出せるメリットがあるとご紹介しましたが、スピーカーのΩ(オーム)値が低い接続にはデメリットもあります。

代表的なデメリットとしては

・長距離伝送では伝送ロスが多い
・スピーカーに負荷がかかり、最悪の場合は破損する

が挙げられます。

そのため、伝送ケーブルの抵抗をなるべく減らすことで伝送ロスを減らしたり、スピーカーのインビーダンスを高める調整(マッチング)が必要となる場合があります。

3.数値が高い接続のメリット

一方で、インピーダンスが高いスピーカーをインピーダンスの低いアンプと接続する時のメリットを考察します。

その代表的な利点は、限られた電力において、たくさんのスピーカーで同時に音を鳴らす場合などに有効な点でしょう。

例えば、盆踊りや屋外でのイベントなどをイメージしてください。ふんだんに電力を使用することが難しい環境で、しかしたくさんのスピーカーを設置しなければなりません。

インピーダンスが高いということは、抵抗力が大きいことを指します。それは逆に、インピーダンス値の高いスピーカーには抵抗力が働き、少しの電力しか流れないことになるのです。

従って、電力が限られた環境で、貴重な電力をムダにすることなく、多くのスピーカーに電流を行き渡らすことができます。

数値が高い接続のデメリット

スピーカーのΩ(オーム)値が高い接続のデメリットをご紹介します。主なデメリットとしては、

・スピーカーへの電流不足で音量低下を起こす
・スピーカーの抵抗により音質が劣化する

が挙げられます。そこで、アンプ側の電流を高めるため高出力のタイプを選んだり、アンプ側のインピーダンスを高くする調整(マッチング)が必要となる場合があります。

アンプとスピーカーのインピーダンスをマッチングする理由

上述の通り、アンプ側とスピーカー側のインピーダンスの違いにより、音量や音質は変化します。

マッチングが適切でないと、低音域の再生が不十分になったり、高音域にひずみが生じるなどの悪影響が生じます。

そこで、それぞれの機器のインピーダンスをマッチングする作業が重要になるわけです。

測定・特性分析を自分でするのは難しい?

インピーダンス値は、スピーカーのカタログなどに記載されています。しかし、中には自分で測定したり、その特性分析をしたいと考える人もいます。その方法とは、どのようなものでしょうか。

段階を踏んで学んでいこう

インピーダンスは、測定器によって計ります。インピーダンスは複素数といわれ、二つの量を測定する必要があるため、直列モードと並列モードそれぞれの回路測定をしなければなりません。

また、その測定方法や特性の分析方法はいくつかあります。代表的なインピーダンスの測定方法には、ブリッジ法、共振法、Ⅰ‐Ⅴ法、反射係数法、自動平衡ブリッジ法、そしてRF I-V法などがあげられます。

インピーダンスの測定に関しては、学術書も数多く出版されています。専門的な分野ですが、興味がある人は、段階を踏んで一つ一つ学んでいきましょう。

特性分析よりもつなぎ方から覚えて

特性分析などを行うための理論や技術は、蓄えておいてムダにはなりません。しかし、まずはつなぎ方から覚えることが肝要です。

ローインピーダンス接続とハイインピーダンス接続

スピーカーとアンプの接続によく用いられるものが、ローインピーダンス接続とハイインピーダンス接続です。

ローインピーダンス接続とは、インピーダンスの低いスピーカーに接続することです。ただし、スピーカーのインピーダンスはアンプの最大インピーダンス以上にします。そして、複数のスピーカーを接続する場合、トラブル発生への注意が必要です。

なぜなら、抵抗力が小さいため、一部に電流が行かなくなるとその分が他方に流れ込み、許容量オーバーとなったスピーカーが破損する恐れなどがあるからです。

ハイインピーダンス接続はスピーカーシステムにスピーカートランスを取り付けることでインピーダンスを上げて接続する方式です。

たくさんのスピーカー全てを並列につないでも、事故の可能性は低いと言えます。それが、イベントなどの環境設定において重宝される理由です。

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文/編集部

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