シートベルト着用義務が免除される条件
シートベルトを着用しているほうが安全だということには変わりありませんが『道路交通法』では、身体的理由や物理的理由などによって着用できない人のために『免除規定』も詳細に定められています。
ただし、免除されている場合にも、衝突の危険性が減ったわけではありません。着用時よりも、さらなる安全運転を心がけましょう。
シートベルト非着用でも違反にならない『免除の条件』について解説します。
負傷や障害、身体的に着用が難しい場合
シートベルト非着用でも、違反とならないケースの一つが『負傷や障害など身体的に着用が難しい場合』です。
怪我や障害などによってシートベルトを着用すると健康を害する恐れがある際には、着用が免除されます。
『妊娠中』も、シートベルトでお腹を圧迫するとよくない場合があるでしょう。妊娠中にお腹が張ってしまっていたり痛みがあったりするときなどは、シートベルトの着用免除の範囲に入ります。
座高が高い人や低い人、肥満の人など『身体の状態によって適切に座席ベルトを装着できない人』も、着用免除の対象です。
シートベルトがない、または数が足りない
75年までに、国内生産の普通乗用車に関しては運転席・助手席・後部座席のシートベルトの設置が義務付けられています。
一方で、旧式の中には『シートベルトが搭載されていない車』もあります。その場合も、当然免除の対象です。
また、車の定員人数は大人を想定した数のため、12歳未満の子供は『子供3人が大人2人分』として数えられます。
定員5人の乗用車に大人3人と子供3人が乗車した場合、車のシートベルトの数が足りなくなってしまうでしょう。『シートベルトの数が足りない場合』も、着用義務の免除対象です。
警察車両や消防車など、免除対象車両での作業中
『免除対処車両』での作業中は、シートベルトの着用が免除されます。消防士が消防車を出動させるときや警察官などの公務員が職務遂行中に車を運転しているときは、一刻を争う事態です。
要人警護などの警察車両の護衛・誘導の際は、シートベルトの着用によって犯人の脱走などのリスクが高まるでしょう。
郵便配達・ごみ収集車など頻繁に乗降する業務の区間中もやむを得ないと判断されています。
「選挙における公職の候補者又は選挙運動員が選挙カーを運転するとき」も『道路交通法施行令第26条の3の2第8項』で定められているため免除対象です。
出典:道路交通法施行令
シートベルトに関するよくある質問
シートベルトにはさまざまな規定があるため、よく理解できないこともあるかもしれません。しっかりとシートベルトに関する規定を理解して、正しく安全なドライブを楽しみましょう。
ここでは、シートベルトに関するよくある質問を3例紹介します。
後部座席の違反、罰則を受けるのは誰?
先ほど後部座席のシートベルト非着用の罰則については触れましたが、減点されるのは『運転者』です。
後部座席・助手席にかかわらず『同乗者のシートベルト非着用は運転者が同乗者の安全義務を怠ったため』とみなされます。
運転者は一緒に乗る人の安全を守るためにも『同乗者全員がシートベルトを着用していること』を確認してから運転をスタートさせるように心がけましょう。
発達傷害、チャイルドシートは免除される??
チャイルドシートの免除規定には『精神的な障害』も含まれます。『自閉症』などの発達障害も含まれており、チャイルドシートを使用することが療養上適当でない場合には着用免除の対象となります。
ただし『多動や接触感覚の過敏さなどがありチャイルドシートをどうしても使用できない場合』が対象です。子供の安全性を考えれば、チャイルドシートを使用したほうが安心ではあります。
無理をさせない範囲で、チャイルドシートに慣れさせてあげましょう。
シートベルトストッパーの使用は問題ない?
シートベルト着用時に圧迫感を感じる人の中には『シートベルトストッパー』を使っている人もいるでしょう。
シートベルトストッパーとは、きつすぎるシートベルトをゆるめるために付けるアイテムです。お菓子の袋の口を止める際などに使われるクリップのような形状で、シートベルトに挟んで使います。
自分の苦しくない位置までベルトを伸ばしたら、車の側面上にあるシートベルトのアンカー部分にストッパーを付けましょう。ベルトが戻りすぎて体に食い込む事態を防げます。
シートベルトの効力を発揮できないぐらいまでゆるめて留めるのは例外ですが、シートベルトストッパーを使用していても違法にはあたりません。
『3cm程度まで』を目安に、車内の熱で突然折れる心配のない素材や角が丸いものなどを選びましょう。
構成/編集部