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「SNSの普及で感情が可視化される時代だからこそ、冷静な判断に資する正確な情報を得る必要がある」竹中平蔵が考える日本のメディアの課題

2019.09.18

小泉内閣で改革の司令塔として陣頭指揮を執り、その後も活発な活動を通じて日本経済の再生に尽力する竹中平蔵氏。月1回以上のペースで海外出張をする彼は、日本が第四次産業革命から取り残されていきそうなことに、強い憂いを持つ。そして、メディアが正しい情報や、判断に資する情報ではなく、事件ばかり伝えることも疑問を投げかける。

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 AI、IoT、ブロックチェーンなど、第四次産業革命と言われるテクノロジーの大波が押し寄せてきているなかで、必ずしも日本はその波に対応できているとは言い切れない。小泉内閣で構造改革の司令塔として活躍し、現在はダボス会議の理事を務める竹中平蔵氏。刻々と変化する世界の様子を見る彼は、気をつけて見回せば、身近なところでも大きな変化が起きていることを見つけられる。それを感じることができるか否かは、見る人の意識の問題と指摘する。

「いまキャッシュレスのことが話題になっていますが、キャッシュレスで便利になるか、いや私は現金のほうがという議論は、本質ではないんです。もちろん、便利さは大事ですよ。しかし、より重要なことは、キャッシュレスにすることで、(行動履歴などを補足するための)ビックデータが溜まるようになる。これによって、新しい産業が生まれ、新しいマーケティングが出てくる。そういう非常に大きな変化だから、積極的に受け入れましょう、推進しましょう、というのがキャッシュレス化の核心です。

 考えてみて下さい。みなさんがケータイを使うようになってから、公衆電話はあっという間になくなりましたよね。いま、世界では、キャッシュディスペンサー(ATM)がどんどんなくなっているんです」

 昔は、ターミナル駅には、ずらっと公衆電話が並んでいたし、街には電話ボックスがあった。そうした景色も昭和の懐かしい景色に変わってしまったし、最近では若い人たちが電話を使わないため新卒の新入社員を対象に、電話の使い方や話し方などを研修することはよく知られている。余談だが、ダイヤル式の黒電話は、受話器を上げて、ダイヤルを回すという使い方がわからないのだとか。

 ケータイは90年代中期から低価格化が進み、2000年前後から爆発的に普及する。スマホが日本で本格普及するのが2010年頃から。ケータイが普及してから約20年で街から公衆電話が姿を消し、スマホ普及から約10年でダイヤル式の黒電話は操作方法さえわからなくなる。

 竹中氏が指摘するキャッシュディスペンサーも、三菱UFJ銀行三井住友銀行が、店舗外ATMの共同利用を開始した。ATMで行なっているような振り込み操作などはスマホでもできるうえ、コンビニのATMを利用すれば現金の入手金ができることを考えれば当然のこと。とすると、いまのような銀行の支店は必要なのかという疑問もわくが、この分野に通暁する竹中氏は、さらに厳しい。

「(Microsoftを創業した)ビル・ゲイツが有名な言葉を残しましたよね、“Banking is necessary houever banks are not.”銀行機能は必要だけれど、銀行が必要なわけではない、と。だから、インターネットやスマホなど新しいテクノロジーを駆使したFinTechが登場してくると、銀行は苦しいわけですよ。これは自己否定につながる部分があるので。銀行にとってFinTechは、テクノロジーを入れて、生産性を上げるとか、そんな単純な問題ではなくて、突き詰めれば自分の仕事がなくていいっていう話ですからね」

 さらに、ブロックチェーンなどの技術を使って安価に送金が行なえたり、Facebookの「リブラ」のように従来の貨幣に変わるものが登場してくると、従来の既得権益にしがみついているようなビジネスのやり方では立ち行かなる、と竹中氏は警鐘を鳴らす。

「ブロックチェーンは、銀行などいらないのでは?という本質的な問題を突きつけているわけです。私が銀行にお金を預けて、記帳してもらいました、と。でも、預けたお金を銀行は保管しているわけではないですよね。どこか別のところに貸し出すなど、運用をしていた。(お金を銀行が保管していないにも関わらず)それでも、私は安心だったわけです。それは、銀行という信頼できる、それこそ政府がお墨付きを与えた機関の台帳に、お金があることが書かれていたからです。

 でも、ブロックチェーンを使った分散型の台帳で、同じことをしてくれるならば、別に銀行はなくてもいいわけです」

 竹中氏は、ひときわ声のトーンを変えておかしいと指摘するのは、銀行の送金手数料の高さだ。

「いまの新しい技術を使うと、送金業って、もっといろんな事ができるんです。ところが、日本はいままで送金の上限を100万円にしていたんです(金融審議会「金融制度スタディ・グループ」「決済」法制及び金融サービス仲介法制に係る制度整備についての報告≪基本的な考え方≫の6ページ目の注5を参照)。

 例えば、ひとつの企業が今日の決済で、1億5000万円を払うことができなくて、それで高い手数料を払う必要があった。私はロンドンのある研究所の会員で、そこの月会費の5000円を払おうとしたら、手数料は5000円よりも高いんですよ(笑)

 ブロックチェーンを使った新しい送金システムができたらすごく簡単になりますよね。こんなバカなことは起こらなくなると思います」

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