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会社で「ラインに乗る」人の選抜は遅くとも35歳までに終わる理由

2019.09.10

■連載/あるあるビジネス処方箋

前回、「ラインに乗っている人」について私の考えを述べた。ラインの定義や意味は前回の記事をご覧いただくと、深く理解してもらえると思う。特に中堅企業や大企業の社員をしていくならば、心得ておきたい。

【参考】https://dime.jp/genre/765071/

ラインは、配置転換や昇進、昇格の時期にはっきりと「一定の線」のようなものとして見える場合がある。たとえば、ある男性が30代前半で営業課長になり、数年後に人事課長に、40歳前後で人事部長になる。大勢の社員と異なり、大きく活躍できうる部署やプロジェクトに早く関わるようになるのだ。そして管理職の中核を占める存在となり、役員になっていく。明らかに、社内の誰かが導いているかのように見える。おそらく、社長や役員だろう。

中堅、大企業の場合、このようなラインに乗る人の選抜は遅くとも35歳までくらいにほぼ決まる、と私はみている。大体、20代後半までに「1次セレクト」がある。その時点で潜在的な能力が高く、伸びしろがあると思える人が同期生よりも早く、主任や課長補佐になる。同期生よりも遅い人がその後、追いつき、逆転する可能性は相当に低い。マラソンのレースに近いものがあり、先頭集団から脱落した人がトップグループに戻るのは難しい。

中堅、大企業は、社員数が中小企業よりははるかに多い。20代後半で選抜をしてふるいにかけないと、30代半ばから後半にかけて行う「2次セレクト」ができない。この選抜では、管理職の中核になる人材を選ぶ。たとえば、本部長や執行役員及びその候補などだ。シビアな見方かもしれないが、「1次セレクト」「2次セレクト」でラインに乗ることができない人は「その他、大勢の社員」として扱われるだろう。会社員としての大きな成功を得ることは難しいのかもしれない。

最近は、好景気と労働力不足が続くこともあり、転職する人が増えている。中堅、大企業も20∼40代前半までを中心に採用意欲は強い。確かに転職を試みる好機ではある。しかし、少しの間、立ち止まり、考えてみたい。仮にあなたが30代後半で、大企業(特に金融、商社、鉄鋼、自動車などのメーカー)に移るならば、ラインに乗る可能性は低いのかもしれない。

この場合は、どちらかといえば、専門職やそれに近い立場の管理職(若しくはその候補)として採用されるのではないだろうか。あるいは、新規の事業やプロジェクト、部署に配属になるのではないか、と思う。仮に中途採用で入社させた人をラインにすぐに乗せるならば、「1次セレクト」「2次セレクト」が破たんしていたのだ。私の観察では、特に金融、商社、鉄鋼、自動車などのメーカーの中堅、大企業の場合、このようなケースはほとんど見かけない。人手不足が深刻な外食や小売、流通、建設、介護業界では時折見聞きする。

30代後半以上で中堅、大企業に転職する場合は、このような背景があることは想定しておきたい。専門職として生きていくスキルが転職先の企業で認められない時は、「期待外れの人材」として扱われるケースがあることも知っておきたい。ラインに乗っていわゆる出世を考えるよりは、自らのスキルの価値を高め、生きていくことを模索したほうがいいのかもしれない。

現在、勤務する会社に不満が強い場合、「隣の芝生が青い」の心理で、転職したい会社の内情を調べない人がいる。一度、ラインという切り口で検討することを試みたらどうだろうか。フェイスブックなどを使い、転職希望の会社の社員の配属部署や人事異動の履歴を調べてみよう。

その時、ラインがあると確認したら、好感を持ったほうがいいと私は思う。昇進、昇格といった人事の仕組みがある程度機能している可能性が高いからだ。その仕組みがあるからこそ、配置転換や査定評価を行うことができる。中小企業や歴史の浅いベンチャー企業ではそのような仕組みを作るのは相当に難しい。

あなたは、ラインに乗ることができているだろうか?

文/吉田典史

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