着々と世間に浸透している感のあるQRコード決済。中には、日常生活における消費活動のほとんどをこれで済ませているという情報感度の高い人もいたりする。
しかし一方で、「使い方がわからない」「サービスが多すぎる」などの理由から利用に対して億劫になっている人も少なくない。
そんなQRコード決済についてこのたび、株式会社ヴァリューズによる10,038人を対象にしたアンケート調査が行われたので、その結果を紹介していきたい。
QRコード決済は4人に1人が利用も、クレジットカードやチャージ系には及ばず
まず、利用経験のあるキャッシュレス決済から見ていこう。アンケート調査では、キャッシュレス決済を「クレジットカード」、Suica、PASMOなど「交通系チャージ式電子マネー」、楽天Edy、WAONなど「交通系以外のチャージ式電子マネー」、PayPay、楽天ペイなどの「QRコード式」、iD、QUICpayなど「後払い式」、「デビットカード」、「仮想通貨」に分けて、店頭での利用経験を尋ねる調査が行われた。
最多は「クレジットカード」で86.7%。現在最も利用頻度が高い手段も、「クレジットカード」54.7%が群を抜いた。次いで利用経験者が多いのはチャージ式。SuicaやPASMOなどの交通系電子マネーで64.6%、楽天EdyやWAONなど交通系以外が48.5%だった。
2018年12月のPayPay「100億円あげちゃうキャンペーン」など各社のキャンペーン攻勢でも話題をさらったQRコード式の決済アプリは、24.9%と4人に1人が利用経験ありと回答したが、「最も利用」だと約5%程度。数々のキャンペーンもお財布としての定着効果は今後に期待といえそうだ。
なお、デビットカードは15.8%が利用経験ありながら、現在「最も利用」は1.4%にとどまった。「特に利用していない」現金主義の回答者も9.0%と、ネットアンケートの回答であっても、まだまだキャッシュ好きは一定の割合で存在しそうだ。
図表1 店頭で利用したことがあるキャッシュレス決済サービス (利用経験は複数回答、最も利用は単一回答)
キャッシュレス決済アプリではQRコードとチャージ式が拮抗
続いて、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を用いて、主要なキャッシュレス決済アプリの利用ユーザー数と所持ユーザー数の調査が行われた。
行動ログでは、アンケートに比べてチャージ式よりもQRコード決済アプリの所持ユーザーが多い結果となった。物理カードからサービスを開始しているチャージ式や後払い式電子マネーは、まだまだアプリ利用よりもカード利用が多いと推察される(例えば、Suicaの発行枚数は2109年3月時点で7,587万枚)。
アプリに関してはPayPay(2018年10月リリース)、d払い(2018年4月リリース)、楽天Edy(2016年12月リリース)、楽天ペイ(2016年10月リリース)と、新サービスほどユーザーが多い傾向に。
図表2 主要キャッシュレス決済アプリの利用状況(2019年6月)
アプリ利用ユーザーでみると、ヴァリューズが発表した前回調査(*1)と変わらずPayPayがトップを独走中で、6月の利用ユーザーは851万人をマーク。チャージ式の楽天Edy752万人がこれを追い、QRコード決済ブームにあやかって急増したd払い663万人が続く。楽天ペイは525万人で、同じくチャージ式のモバイルSuica536万人に肉薄した、
濃淡はあるものの、QRコードはいずれも2018年11月から2019年6月の8ヶ月間右肩上がり。PayPayは12.4倍、d払いは2.7倍、楽天ペイは2.5倍、Origamiは2.6倍にユーザーを増やしている。
もともと利用が多かったチャージ式の楽天EdyやモバイルSuicaも、アプリユーザーを1.1~1.2倍に増やしているが、QRコードに比べると伸びは控えめ。これらサービスは、現時点では物理カードの方が生活に浸透しているのだろう。
図表3 主要決済アプリの利用ユーザー数