スズメバチに1刺されるとどうなる?
スズメバチの中でも最大種のオオスズメバチの毒針から出る毒液は、「毒のカクテル」といわれるほど凶悪。仮にオオスズメバチでなくとも、刺されたらただではすまない。丸沢さんは、次のように説明する。
「刺された後は痛みが数時間続くし、痛さが少し治まっても、今度はかゆみも一緒に襲ってきて、腫れているために、かいてよいのかもわからず、痛がゆく腫れた患部をただ見守るという、ストレスのたまる日々を数日送ることになります」(本書031pより)
さらに、ハチ毒に対してアレルギーを持っていれば、命にかかわることもあるという。この場合、「意識がもうろうとし、全身に発疹が現れ、呼吸困難になって重篤な状態、ひどい場合には死んでしまう」そうだ。この症状は、刺されて数分から数十分で起きるとのことで、刺されたらすぐに病院に行くことがすすめられているのは、このリスクがあるからだ。
刺された時の応急処置
万が一スズメバチに刺されたら、病院にたどり着く前にできる応急処置はあるのだろうか?
丸沢さんは、なにはともあれその場を離れ、同じスズメバチの再度のアタックや、援軍のスズメバチの来襲を避けるようにアドバイスする。離れる距離は「最低でも50メートル」とのこと。
毒針が皮膚に刺さったままだと、毒がなおも注入されるのでそっと引き抜く(もし毒嚢も付いていたら、それはいじらない)。そして、患部を水道水で洗い流しながら、つねるようにして毒を絞り出す。
この際に役立つグッズとして紹介されているのが、「ポイズンリムーバー」と「虫刺され薬」。ポイズンリムーバーの見た目は針のない注射で、これで毒を吸引する。これは、アウトドアショップで簡単に手に入る。虫刺され薬については、「抗ヒスタミン系成分を含むステロイド系軟膏」を丸沢さんは推奨する。「口で毒を吸い出す」とか「おしっこをかける」はNG。もちろん、大事をとって病院に行くことを忘れずに。
本書には、こうしたスズメバチ対策ばかりでなく、スズメバチ料理のレシピ、飼育方法、スズメバチの祭り潜入記といった面白情報にも多くのページが割かれており、読みごたえは十分。スズメバチに興味のある人はもちろん、アウトドアの行楽に出かける人にも役立つ内容になっているので、一読してはいかが?
【参考】『超危険! スズメバチLIFE 図解とマンガでわかる最凶生物』
丸沢丸さん プロフィール
1984年、東京都生まれ。東京農業大学卒業。お笑いコンビ「かにゃ」の片割れで、スズメバチとルームシェアするハチ毒陽性芸人。堺雅人さんのモノマネを得意とし、2013~18年に『高校講座 生物基礎』(NHK Eテレ)にレギュラー出演するなどテレビ、ラジオなどで活躍中。公式サイト:https://r.goope.jp/ka-nya
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)