■連載/ゴン川野のPC Audio Lab
プロジェクト達成率2232%!
その個性的な音とレトロなデザインから、いつかは手に入れてみたい真空管アンプ。しかし、そのハードルは意外に高い。大きい、重い、発熱するためデスクトップに気軽に置くわけにはいかない。ラックに入れるなら換気に注意して熱を逃がす必要がある。パワーアンプなので入力が1系統しかない。プリも真空管にするとますます置き場所に困るなど。手軽に始めるなら、真空管ハイブリッドアンプがオススメだ。
MHaudio『UA-1』はGREENというクラウドファンディングを利用して製品化される真空管ハイブリッドアンプで、目標金額の50万円の2232%をすでに達成しているため製品化は確実となった。8月27日の時点の価格は6万6800円。
MHaudioはデスクトップ用の小型スピーカー『WAON』などを作っている日本のオーディオメーカーで『UA-1』は地元長野のメーカーに協力を仰ぎ、シャーシやアルミ削り出しのフロントパネルやボリュームなどを製作、高い工作精度と美しい仕上げを実現している。
デザインと仕上げにこだわった本格派
今までに真空管ハイブリッドアンプは存在したが、その多くが中華メーカーの作ったもので既存のシャーシを使っているため、どれも似たようなデザインだった。コスパ優先なので仕上がりも悪くはないが、まあ価格相応と感じだった。
これに対して『UA-1』はこだわりのアンプなので、外装パーツだけでなくコンデンサーや抵抗などのパーツも性能と信頼性を優先して日本製にこだわっている。シャーシは精密板金加工をおこなう地元のメーカーに依頼して製作。厚さ1.6mmのSUS304ステンレス合金を使い、アルミ合金を超える強度を追求している。溶接にもこだわり、レーザー溶接とTIG溶接の2種類を使い分けている。真空管周囲の放熱用の穴はレーザー加工をおこなわず、あえてパンチプレス加工を採用して穴にダレを作っている。わざわざダレさせるという発想は面白い。
左右にはプロテクトハンドルがある。これは重量級の業務用アンプなどに付けられたもので本機のデザインのアクセントになっている。角型のハンドルは多いが、丸パイプのハンドルはなかなかレアである。
シャーシは3部品構成でリアは2段になっている。バナナプラグ対応の大型スピーカー端子を採用。
RCA端子は艶消しの金メッキ仕様でシャーシはヘアライン仕上げ。
サイズは幅90×高さ90×奥行き148mm。デスクトップに収まるコンパクトなサイズで発熱もほとんどしない。
重さが約560gあるので、オーディオ用のケーブルを使っても安定している。