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ストイックな人ほど要注意!内科医が待ったをかける「糖質制限食」の落とし穴

2019.08.27

男を磨くダイエット法としても、すっかり定番となっている「糖質制限食」。コンビニやスーパーでは「糖質オフ」を謳う商品を、巷のブログでは糖質オフの成功体験談をいくらでも見つけることができることからも、人気を集めている健康法であることがわかるだろう。

糖質制限ダイエットの魅力は、なんといっても「糖質が少ない肉や乳製品を、がまんしなくていい」「甘いものと炭水化物を控えておけば、だいたい大丈夫」という点だろう。相当な気合が必要となるハードなボディーワークや、ひもじい思いをする食事制限なしにムダ肉を落とせるのは、仕事に影響が出にくい点からもありがたい。ところが、この糖質制限食に待ったをかけている医師がいる。内科医の名取宏氏である。

同医師の著書である『医師が教える最善の健康法』(内外出版)では、「ついやりがちな間違った健康法」の章のトップバッターに「糖質制限食」があげられている。「極端な糖質制限食はおすすめしない」「うまく行わないと、かえって健康を害する危険性がある一方で、利益がはっきりしない」と語られている。その驚きの内容とは? 要点をご紹介していこう。

ポイント1「炭水化物量が少なすぎても、死亡率が高くなる」

糖質制限ダイエットを行なうとき、真っ先にやるべきこととして知られているのが「炭水化物」を抜くことだ。カロリーだけを考える場合、炭水化物=糖質と考えればいい。すると我々の主食であるパンや米、麺類は控えるべきであり、その分乳製品や肉類は食べてOKだ、などとダイエット本などで解説されている。

ところが2018年に発表された研究によると「総摂取カロリーに占める炭水化物の割合が50~55%のときが最も死亡率が低く、それより多くても少なくても死亡率が高くなる」という結果が示されていた。研究の対象になったのは45~65歳のアメリカ人1万5千人。食事摂取頻度を調査して25年間追跡し、炭水化物の摂取割合別に亡くなった人を数え上げたもの。さらに、性別、年齢、人種、糖尿病の有無、喫煙に有無などの要因も調べ、補正しているという。

引用元:Seidelmann SB et al. Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis. Lancet Public Health. 2018 Sep;3(9):e419-e428.

これは同じような研究を統合して解析をした結果でも「炭水化物の割合が多くても(70%以上)低すぎても(40%未満)、高い死亡率と関連している」という結論になっている。

炭水化物やスナック菓子ばかり食べている糖質豊潤な食生活が不健康なのは言うまでもないが、糖質オフを意識するあまり「炭水化物を全くとらない」というのもまた、健康を害するということだ。

ポイント2「極端な糖質制限食に、病気予防を謳う根拠がない」

糖質制限食を勧める書物などを見ると、「血糖値が下がる」「病気リスクが減る」「認知症やがんの予防に」などの、嬉しい効果効能が目につく。しかしこれらは短期的な検査値が改善したというデータはあるものの、長期的なテータは提示できていないと名取医師は指摘する。

よく知られる「糖質制限で血糖値が下がる」効果に関しては、そもそも糖尿病でない人には適用できない理屈であり、短期的に血糖値が下がったところで長期的な健康につながるかといったら、それは全く別の話しなのだと言う。健康意識の高いデキる男ほど、「予防」という言葉に反応してしまいそうだが、裏付けとなるデータは鵜呑みにせず、よく吟味したほうがよさそうだ。

ちなみにここで重要なポイントは、NGとされるのはあくまで「極端な糖質制限」や「肉はいくらでも食べてもいいとする単純な糖質制限」ということ。ゆるく穏やかに糖質制限をする分には、体重や体脂肪をコントロールするなど、何かしらの健康効果は期待できるだろう。

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