おしゃれな人ほど、服の「サイズ感を大切にする」とも言われる。どんなに高級でデザインに優れた服でも、そのサイズが合っていなければ、周囲はその人を「おしゃれ」とは思わないだろう。
しかし、「自分の正確なサイズ」を知るのはことのほか難しい。自分でわかるのは、せいぜい「Sサイズ、Mサイズ」くらいだ。2017年11月、ファッションサイトZOZOTOWNで導入された採寸技術「ZOZOスーツ」は、そうした課題を解決する一つの選択肢になった。
2019年7月、同じくファッションサイトSHOPLISTが、「bodygram(ボディグラム)」という採寸技術の導入を決定。現在は一部ユーザーのみ利用可能だが、同技術はZOZOスーツにはない革新的な点がいくつもある。
今回、そのbodygramの開発者でありBodygram Japan株式会社CEO Jin Koh(ジン・コー)氏にお話を伺う機会を得た。bodygramは、一体どのような点が革新的なのだろうか。その特徴や今後の展望を伺った。
AIを使った採寸技術bodygramの特徴
bodygramの最大のポイントは、大掛かりな装置や道具を必要としない点だ。スマホで自分の写真を撮影するだけで、誰でも簡単に高精度な採寸ができる。
SHOPLISTアプリでは、4つの情報入力(身長・体重・年齢・性別)とたった2枚の写真を撮影するだけで身体採寸ができ、その測定データに基づき「おすすめサイズ」を提案してくれる。さらに、「バーチャル試着体験」も可能だ。
bodygramは、日々その精度が向上していくのも特徴的だ。AI技術を取り入れ、利用者のデータを蓄積・学習することで、凄まじいスピードで採寸精度が向上し続けるという。
−−bodygramは、今までの採寸技術と何が違うのでしょうか?
ジン:過去にも数多くの採寸技術がありましたが、やはりAIを活用するというのが新しいアプローチです。
蓄積されたデータを基に、身長や体重などを入力し「推測値」を抽出する技術は過去にもありました。また、ビデオやたくさんの写真を取ることでサイズを抽出する「3Dモデル」を活用した採寸技術も存在します。
しかし、それらは”精度”に課題がありました。さまざまなボディタイプの人がいるため、必ずしもその推測値はすべての人には当てはまりません。また、3Dモデルで言えば、裸で測定するわけではないため、1枚のレイヤー(服)が一緒にモデル化されてしまいます。
bodygramは、AIのディープラーニングを活用しており、日々その精度が上がっていきます。ユーザーは従来よりも簡単に、そしてさらに正確な「自分だけのサイズ」を把握できるのが最大の強みです。
−−ユーザーがbodygramを利用するとデータが蓄積される。そのデータを活用し、さらに進化していくということですね。
ジン:はい。ユーザーがその精度の高さを一緒に作り上げていくイメージです。
ここは大切なところなのでしっかりとお話ししますが、蓄積されるデータには名前などの個人情報は含まれていません。そこにあるのは、精度を上げるために使われる写真データだけです。データは、個別に独立した「BodyBank(ボディバンク)」と呼ばれる場所に保存され、複数の企業間で共有されることもありません。