2019年7月25日、国民生活センターは『友だちから誘われても断れますか? 若者に広がる「モノなしマルチ商法」に注意!』の注意喚起を促した。
【参考】国民生活センターHP
マルチ商法とは一般的に、組織の会員が新たな会員を勧誘することで利益を得る、連鎖販売取引のことを指す。
消費者庁の特定商取引ガイドぺージにも「個人を販売員として勧誘し、さらにその個人に次の販売員の勧誘をさせるというかたちで、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品・役務の取引のこと」と紹介されている。
【参考】特定商取引ガイド
以前は物販を中心に様々な組織が暗躍していたが、今は商品などのモノを介さず投資やアフィリエイトなどの儲け話で話を持ちかけることも多いという。
ただ、その勧誘の手口は、知人からの勧誘→説明会への勧誘→説明会場でうまい話のオンパレード→その場で契約を促す。というパターンは、昔も今も変わっていないようだ。
かくいう筆者もその昔、熱心に勧誘されたことがある。仕事柄すぐに怪しいと感じたものの、取材してやろうと説明会まで参加したところ、あまりに周囲がアッサリ引っかかるのを目の当たりにして驚いた経験がある。
その説明会とはどんなものなのか。当時の様子を振り返りながらご紹介しよう。
取引先の美女からお誘い?
筆者に声をかけてきたのは、当時仕事先のひとつだった世界的に有名な企業へ勤務する女性(24歳)だった。月に1回程度やり取りしていたある日、「今度、ぜひ聞いていただきたいお話があるので、お食事にでも……」と誘われた。
正直に言おう。その当時、筆者は独身でこの女性に興味もあったので、少々舞い上がった。ウキウキしながら銀座のレストランに行った。会話内容は会社のこと、働き甲斐のことなど様々で、最初はとにかく楽しかった。
※写真は全てイメージです
しばらくすると、女性はこんな話を始めた。
「実は今、会社とは別にネットワークビジネスというものをしています。今の会社じゃ経験できないような素晴らしい体験をしています。そして、自分が信頼できる人に一緒にやってほしいと思ってるのです。興味ありませんか?」
すぐに怪しい話だと思った。しかし、彼女は一流企業の正社員だし、裕福な家庭で育ったことを知っていた。何もそんなことに手を染める必要もないだろうに……と思ったが、
「実はこの後、集まりがあるんです。ぜひ一緒に来てもらえませんか?」
なるほど、それが目的だったのか……一気に気持ちが覚め腹も立った。そこで、どうせなら核心まで見てやろうと、説明会への参加に同意した。彼女はとてもうれしそうな顔をしていた。