2019年、最高気温は48℃に塗り替えられたデリー。賑わう街のエネルギーもヒートアップ!
デリーには官公庁街以外にも落ち着いたエリアとして、南デリーの高級住宅街がある。一方で、近代的に整備されていない人口密度の高い小さな区画が、コミュニティとして市内に点在している。
それ以外にも17世紀から続く旧市街、小さな店が道路いっぱいにひしめく商店街、巨大なショッピングモール、大学や美術館、ホテル、ゴルフ場、様々な宗教の教会、歴史的建造物などが渾然としつつも一体化している。軽自動車から高級欧車まで多様な自家用車、バス、バイク、リキシャが行き交い、どこに行っても、人、ひと、ヒトでにぎわう。最高気温が45℃以上の夏はともかく、最低気温が7℃前後まで下がるデリーの寒い冬でも、まるで湯けむりを感じるほどの熱量だ。
巨大なモールには地元ブランドだけでなく、ヨーロッパの高級ブランドから、米国の美容やスポーツウェア、コンピューター、カジュアルアパレルまで、多様なブランドが店を構えている。このシティセレクトモールに隣接するモールにユニクロが出店予定。© moonlink Inc.
都会の一角にある開発されていない小さなコミュニティは、アーバンビレッジと呼ばれている。老若男女が生活し、建物の境目や電線の配線状況も混沌としている。 © moonlink Inc.
南デリーの高級住宅街にある『Manor ホテル』のカフェから、緑豊かな庭を望む。© moonlink Inc.
「他のアジアの国とは異なる、沸騰レベルのエネルギーだ」と、初めてインドを視察した、海外赴任歴が長くASEAN各国に詳しい日本メーカー勤務の日本人が印象を教えてくれた。そう、インドの混沌は東南アジアのそれとも異なる。文化が異なり、国の公用語以外に憲法で22言語が指定されており、1万人以上の人が使う言語が合計121存在する(2011年の国勢調査)そうで、使う言葉も様々だ。さらに宗教も生活様式さえ違う人々がいるのはインドでは日常だ。逆にいえば、多様性を認めなければ生きていけない。だからこそ見た目はありふれた混沌さの中でも環境に左右されず、他人を排除するのではなく、自分の思いに正直に生きていると感じる。
グローバルシティのデリーでは、今のインド興隆を一手に反映して前のめりで自信を持ち始めた若者たちが、熱気を振りまいている。単なるお祭り騒ぎではなく、混沌には目をくれずに真っ直ぐに突き進む。その姿は、現地で体感されることをお勧めしたい。