老後に必要な資金の目安
老後破産をしないためには、老後に備えて具体的にいくらの金融資産があればよいのでしょうか?単身世帯・夫婦世帯それぞれについて、必要な資金の目安を紹介します。
夫婦世帯の場合
総務省の『家計調査報告』によれば、高齢夫婦無職世帯の月々の支出は、およそ26万円という結果が出ています。そして、社会保障給付などの収入は、月々19万円ほどです。この金額差である7万円ほどが、毎月必要な金額の目安となります。
仮に20年の期間で考えた場合、1680万円は最低限必要な金額といえるでしょう。ここに冠婚葬祭や介護費、医療費などの金額を加えて、最低でも3000万円ほどの資金が必要であると考えましょう。
厚生年金に加入していない場合など、給付が少ないことが見込まれる場合は、もっと多くの資金が必要になります。
単身世帯の場合
同じく『家計調査報告』のデータによれば、高齢単身世帯の月々の支出は15万円と、そう多くはありません。しかしながら収入についても平均して11万円と少なく、月々4万円ほどの不足分が出るとの報告があがっています。
老後を20年として同じく計算すると、960万円ほどは最低限必要でしょう。介護費用や医療費、冠婚葬祭の費用を加えると、目安としては1600万円ほどが必要であるといわれています。
夫婦世帯にも当てはまりますが、家のリフォーム費用などをはじめ、もっと多くのお金が出ていくことは当然あり得ます。目安の金額だけでは、老後破産のリスクをゼロにすることはできません。
老後破産しないためには
老後破産してしまうと、最低限度の生活を送ることさえ難しくなってしまう可能性があります。年金や退職金が今後さらに減少する可能性が見込まれる現在の労働者世帯にとっては、深刻な問題といえるでしょう。
老後破産をしないために、働いているうちからどのようなことをしていくべきかを解説します。
ローンや教育資金などの負担を残さない
ローンをはじめとして、老後に毎月支払うものを残さないことが重要です。家のローンや自動車ローンは筆頭ですが、教育資金についてもあらかじめ計画を立てておきましょう。
特に、定年を迎えた段階で子どもがまだ学校に通っているような年齢であれば注意しなければなりません。私立大学や専門学校の授業料は、年間50万~100万円ほどかかります。
また、40代や50代では収入があるため子どもに高額な塾や習い事をさせがちですが、老後までの期間が少ないことで十分な貯蓄ができずに、老後破産の原因となってしまうこともあり得るのです。
ローンの返済や教育資金は実際に定年してからでは対処が難しいので、働いているうちに返済しておくことが重要になります。学費保険などの準備も事前に検討しておきましょう。
計画的な貯蓄
先ほど紹介した老後に必要な金額を目安として、計画的な貯蓄をしていくことも重要です。毎月の貯金額を決めて、別の口座に預金していくなどの計画的な対策を行いましょう。
想定通りの金額が捻出できない場合は、固定費を中心に見直しを図ってみてください。家賃や通信費、駐車代などの固定費の中で削れそうなものがないかを洗い出してみましょう。
個人向け国債や個人年金に加入しておいたり、積立投資などで資産を増やしたりすることも検討してみてください。
健康維持と収入を得る対策
健康を維持することも重要です。体力的に弱くなればバリアフリーの導入や介護施設への入居などが必要になるので、出費はかさみます。免疫力が落ちなければ病気にかかる可能性も低下するので、医療費の削減にもつながるでしょう。
また、最近は60歳を過ぎた後でも、自身のスキルを活かして新しい仕事をする人も増えています。高齢になってからも働くためにも、健康管理は大切です。働いているうちから計画的な貯蓄だけでなく、健康についても日頃から運動を心がけ、しっかり維持していきましょう。
文/編集部