原則安静。一般病院ゆえにリハビリは軽く行う程度
入院中の生活は安静を基本としているが、コルセットを装着したことで、1日30分程度の簡単なリハビリも行っている。もっとも、入院したのが一般の病院だったため、痛みの管理や骨粗しょう症の治療はできても積極的なリハビリとは言い難く、家族はより積極的なリハビリのできる回復期リハビリテーション病棟のある病院への転院を希望。
幸い、発症から50日目に受け入れてもらえる病院が見つかり転院。*回復期リハビリテーション病棟は脊髄等の骨折患者は発症から2か月以内でないと入院することができない。
(ここまでの費用)
A病院:8万4880円(35日分の入院)
回復期リハビリテーション病棟での集中リハビリ開始
転院した病院での生活は、それまでいた一般病院の安静による治療と大きく異なる。1日に3~5回、合計3時間の理学療法士、作業療法士によるマンツーマンのリハビリが毎日行われた。リハビリをしていない時間帯も、できるだけ身体を動かすよう促される。
最初は戸惑っていたSさんだが、常に同じ人が担当となりリハビリを行ってくれること。他の入院患者も同じようにリハビリをしている人ばかりで、病棟の雰囲気も明るかったため、1か月もするとすっかり慣れた。
元々股関節変形症の持病があったため回復まで時間はかかったが、回復期リハビリテーション病棟の入院限度(3か月)をめいっぱい使いながら、リハビリに励んだ結果、杖を使いながらも自力で歩くまで回復することができた。
(ここまでの費用)
B病院:35万2286円(88日間分の入院)
合計金額は50万円超!
厳密に言うと、医療費以外のショートステイの費用、入院中の食費や洗濯代なども含まれているが、今回のケガでSさんが支払った費用の合計は57万862円。うち、コルセットの費用は後日9割が還付されるため、最終的には53万2800円ほどになった。
もちろん、この中の医療費分に関しては高額療養費の対象となり、申請により相当の還付は期待できる。しかし、一時的にもこれだけの支払いをしなければならないことを考えると、一定の備えは必要だ。
ちなみにSさんは入院1日あたり1万4000円ほどの給付が出る医療保険に加入してため、今回の入院で受け取った保険金は、合計約150万円。差引90万円ほどが残った。保険のありがたみを痛感したことは言うまでもない。
文・写真/西内義雄
医療・保健ジャーナリスト。専門は病気の予防などの保健分野。東京大学医療政策人材養成講座/東京大学公共政策大学院医療政策・教育ユニット、医療政策実践コミュニティ修了生。高知県観光特使。飛行機マニアでもある。JGC&SFC会員。