まるでショーのような食体験
ブルーヒルで用意されているのはコース料理1つだけ。メニューはなく、その代わりにその月の旬の食材が記載された冊子「シーズン・ジャーナル」を受け取る。
ブルーヒルの敷地内で収穫したオーガニック野菜を中心にしたコース料理は、一言で表現すると今流行りの「farm to table」に該当するが、ブルーヒルの素晴らしさはまるでショーのような食体験にある。
エントランスをくぐったその瞬間から料理を食べ終わるまで感動の連続であった。
テーブルに再現される農場の風景
レストランに到着すると、先ずバーエリアでコンブチャを使用したモクテルがサーブされる。
そしてダイニングエリアに移動する。
初めに出てきたのは、木に刺さった釘の上に乗ったフレッシュな野菜たち。
1つずつ自分たちの手で野菜を摘み取る作業は、まるで木から野菜を収穫しているような気分にさせてくれる。
その他にも、草の中に隠されたズッキーニのスティックを見つけ、自分の手で“収穫”して食べるといったユニークな食体験が沢山用意されている。
「食事を農場の風景と結びつけることを目指している」と言うバーバラ氏の言葉通り、テーブルが色とりどりの野菜で溢れる農場になったような錯覚を覚える。
見たことのない料理たち、そして予測不可能な演出
次々とテーブルに運ばれてくる野菜を使った料理。
スクオッシュを丸ごと使用したスープが登場したり、味はさることながら、とにかく予測不可能な演出がなされるのがブルーヒルの魅力。
料理を運んでくれるウェイターは料理の名前と食材を説明してくれるものの、多くは語らない。
「シーズン・ジャーナル」を参考にどんな料理が、どんな風に登場するのかを想像するのが、このレストランの楽しみ方なのである。
コースの途中でウェイターから「カトラリーを持ってこちらに移動してください」と声を掛けられた。
連れていかれたのはレストランの外にある納屋。
納屋から見える広大な農場で、今日口にした野菜たちが育てられている。
収穫地を見ながら、そこで収穫された食材を食べる。このような体験ができるレストランは一体どこにあるだろうか。