目次
「国際結婚の離婚率は約5割」といわれている。
国際結婚カップルの離婚はどういう状況だろうか?
本記事では、国際結婚の離婚率の計算方法と、配偶者の国によって異なる離婚率の違いについて解説する。
国際結婚の離婚率は統計からどうやって計算してる?
離婚率は、その年に離婚した組数を婚姻した組数で割って算出されることが多い。例えば、2024(令和6)年の離婚件数を、同じ年の婚姻件数で割って算出する方法だ。
ある年の離婚件数÷同じ年の婚姻件数×100=離婚率(%)
厚生労働省が毎年行っている「人口動態調査」によると、2022(令和4)年の国内全体の離婚件数は17万9,099件。婚姻件数は50万4,930組だったので、離婚率は約35.5%となる。
俗に言う「夫婦の3人に1人が離婚している」という言葉は、この数値が根拠となっている。
国際結婚の離婚率を厚生労働省のデータから計算
同じく「人口動態調査」を見ていくと、2022(令和4)年に国際結婚をしたカップルは1万7,685組で、この年の国際結婚から離婚したのは8,478組となっている。ここから計算すると、国際結婚における離婚率は約47.9%となり、日本国内全体の35.5%と比較しても高いことがわかるだろう。
しかし、婚姻して1年以内に離婚する夫婦は、実際には多くない。その年の離婚数を同じ年の婚姻数で割った数値で、離婚率が高いかどうかを判断するのはわかりにくいかもしれない。
【参考】e-Stat政府統計の総合窓口 夫妻の国籍別にみた年次別婚姻件数・百分率
国際結婚の離婚率は国勢調査のデータと合わせるとわかる!?
そこで今回は、離婚率を「有配偶離婚率」と設定して考えてみる。
有配偶離婚率とは、既婚者に対する離婚率のことで、離婚数を婚姻年数に限定しない夫婦全体の数で割ったものだ。
5年ごとに行われている総務省の「国勢調査」によると、2022(令和2)年の時点で国際結婚をしていたカップルの総数は38万5,600組。同年の「人口動態調査」では国際結婚から離婚に至ったのは8,845組だ。
有配偶離婚率の算出方法を「2022(令和2)年に離婚した夫婦の数÷2022(令和2)年時点で離婚していない夫婦の数×100=有配偶離婚率(%)」とすると、
8,845÷385,600×100=2.29382……
という計算になり、国際結婚の離婚率は約2,29%になることがわかる。
※離婚率の算出はすべて2022(令和2)年の「国勢調査」「人口動態調査」を参考。
【参考】e-Stat政府統計の総合窓口 国勢調査 令和2年国勢調査 人口等基本集計 夫の国籍,妻の国籍別夫婦数(一般世帯)-全国
【参考】e-Stat政府統計の総合窓口 人口動態調査 人口動態統計 確定数 離婚 夫妻の国籍別にみた年次別離婚組数及び百分率
国際結婚の離婚率は国による違いがある?離婚しやすいカップルの組み合わせとは
続いて、国ごとの有配偶離婚率を見てみよう。引き続き2022(令和2)年の「国勢調査」「人口動態調査」のデータを元に分析する。
フィリピン人男性・女性との国際結婚は離婚率がやや高め。夫婦の性別による差も大きい
フィリピン人と日本人の夫婦数は、日本人男性とフィリピン人女性の夫婦数が6万9,186組、フィリピン人男性と日本人女性の夫婦数が3,061件で、合わせて7万2,247組だ。
対する離婚件数は、日本人男性とフィリピン人女性の夫婦が1,913件、フィリピン人男性と日本人女性の夫婦が105件で、合計2,018件。離婚率は約2,79%となり、平均的な国際結婚の離婚率と比較すると高めの水準となっている。
特にフィリピン人男性と日本人女性の組み合わせでは、離婚率が約3.43%と平均より1ポイント以上高い点が特徴だ。
韓国人男性・女性との国際結婚の離婚率は平均よりも低め。文化や地理的な近さも影響?
韓国・朝鮮人と日本人の夫婦数は、日本人男性と韓国・朝鮮人女性の夫婦数が4万3,469組、韓国・朝鮮人男性と日本人女性の夫婦数が3万3,590件で、合わせて7万7,086組となっている。
対する離婚件数は、日本人男性と韓国・朝鮮人女性の夫婦が801件、韓国・朝鮮人男性と日本人女性の夫婦が576件で、合計1,377件。離婚率は約1,78%となり、夫婦のどちらとも平均的な国際結婚の離婚率と比較すると低い。
地理・歴史的な近さや文化交流が活発なこと、人種的な近さなども影響しているのかもしれない。
中国人男性・女性との国際結婚の離婚率は結婚相手の性別で分かれる
中国人と日本人の夫婦数は、日本人男性と中国人女性の夫婦数が8万5,956組、中国人男性と日本人女性の夫婦数が1万7,693件で、合わせて10万3,649組となっている。
対する離婚件数は、日本人男性と中国人女性の夫婦が2,090件、中国人男性と日本人女性の夫婦が383件で、合計2,473件。離婚率は約2.38%となり、平均的な国際結婚の離婚率と比較すると若干高めの水準と言える。
男女別で見ると、夫が日本人男性、妻が中国人女性の夫婦の離婚率は約2.43%で平均より高めだが、夫が中国人男性、妻が日本人女性の夫婦の離婚率は約2.16%で平均を下回る。夫が中国人である夫婦のほうが離婚しにくいと言えるだろう。
アメリカ人男性・女性との国際結婚の離婚率は低め。夫婦の男女差は五倍以上
アメリカ人と日本人の夫婦数は、日本人男性とアメリカ人女性の夫婦数が3,378組、アメリカ人男性と日本人女性の夫婦数が1万6,332件で、合わせて1万9,710組となっている。
対する離婚件数は、日本人男性とアメリカ人女性の夫婦が53件、アメリカ人男性と日本人女性の夫婦が284件で、合計337件。離婚率は約1.71%となり、平均的な国際結婚の離婚率と比較すると低い。
男女とも離婚率の低い点は、韓国・朝鮮人と日本人の国際結婚に似ているが、夫と妻の男女比率がほぼ同等の韓国・朝鮮人との国際結婚に対して、アメリカ人と日本人では、夫がアメリカ人で妻が日本人のケースが、夫が日本人で妻がアメリカ人の5倍以上となっている点が特徴だろう。
タイ人男性・女性との国際結婚の離婚率も低い。妻がタイ人のほうが離婚しにくい傾向
タイ人と日本人の夫婦数は、日本人男性とタイ人女性の夫婦数が16,472組、タイ人男性と日本人女性の夫婦数が948件で、合わせて1万7,420組となっている。
対する離婚件数は、日本人男性とタイ人女性の夫婦が307件、タイ人男性と日本人女性の夫婦が25件で、合計332件。離婚率は約1.90%となり、平均的な国際結婚の離婚率と比較すると、韓国・朝鮮人、アメリカ人に次いで低くなっている。
男女別で見ると、夫が日本人男性、妻がタイ人女性の夫婦の離婚率は約1.86%で平均より低い。一方、夫がタイ人男性、妻が日本人女性の夫婦の離婚率は約2.64%で平均を上回っている。ただし、他の国と比較すると国際結婚の数と離婚件数がどちらも少ないため、1件の離婚が数値を大きく動かす点は考慮しておきたい。
国際結婚したけど離婚したい場合、どうすればいいの?
国際結婚をしても、2人とも日本に居住していれば、離婚に際し日本の法律が適応されることが多い。その場合は日本人同士の離婚手続きと変わらない。
国際結婚の離婚ブログをチェックしてみよう
国際離婚の体験を詳しく綴ったブログは、数多く存在する。国際離婚で悩んでいる人は、様々なブログに目を通してみるといいだろう。
悩んでいる方はご一読!経験者にしかわからない「離婚」のリアル
あなたは「離婚」と聞いてどんなイメージを抱くだろうか。実際のところ、経験したことがない人でないと“離婚のリアル”は分かりにくい。 そこで不倫・浮気、夫婦問題の相...
国際結婚の離婚率は意外と高い!?覚えておきたい国際結婚後の離婚手続きと問題点
外国人と素敵な出会いをして国際結婚、という人生に憧れている人も多いのでは? 結婚後も楽しい共同生活が続けばいいのだが、生活習慣や価値観の違いから国際離婚に発展し...
※データは2024年7月中旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※製品のご利用、操作はあくまで自己責任にてお願いします。
文/ねこリセット