外国人と素敵な出会いをして国際結婚、という人生に憧れている人も多いのでは? 結婚後も楽しい共同生活が続けばいいのだが、生活習慣や価値観の違いから国際離婚に発展してしまうカップルも多い。
この記事では国別の離婚率、離婚の原因や手続きの問題点などを紹介する。
国際結婚の離婚率は高いの?
国際結婚は、日本人同士の結婚に比べて離婚率が高い。
統計からみる国際結婚の離婚率
厚生労働省が発表した平成29年のデータによると、結婚件数と離婚件数は次の通りである。
【婚姻件数】
日本人同士…58万5409組
国際結婚…2万1457組
【離婚件数】
日本人同士…20万603組
国際結婚…1万1659組
単純に件数を比較すると、日本人同士の離婚数は婚姻数の3分の1近くなのに対し、国際結婚では婚姻数の半数に近いカップルが離婚している。
【参考】平成30年我が国の人口動態
国際結婚の離婚率は国別で違いがあるの?
国によって文化や生活習慣が違うので、離婚率も結婚相手の国によって違いが出ている。
国際結婚の離婚率…アメリカ編
平成29年に誕生した日本人男性&アメリカ人女性のカップルは235件で、離婚数は43件。日本人女性&アメリカ人男性のカップルは1072件で離婚数は352件。離婚率も他の国に比べてそれほど高くない。
国際結婚の離婚率…フィリピン編
日本人男性が国際結婚をする相手国として、中国の次に多いのがフィリピンだ。平成29年のフィリピン人と日本人の婚姻件数は3845件。離婚数は2834件。比較的高い離婚率だ。
国際結婚の離婚率…ベトナム編
日本に住むベトナム人は年々増加しているものの、国際結婚の相手国としては上位にランクインしていない。厚生労働省のHPにも詳しいデータはなく、「その他の外国」としてまとめられている。
国際結婚の離婚率…オーストラリア編
国際結婚の相手国としてはそれほど多くないオーストラリア。離婚率の正確なデータは公表されていないが、離婚率が高い国として取り上げられてもいないので、離婚率は比較的低いと思われる。
国際結婚後に離婚したいとき…浮上する問題は?
国際離婚は、どちらの国の法律が適用されるのかなどの問題があるので、国内の離婚より手続きが複雑だ。具体的に見ていこう。
国際結婚をしたものの離婚…どんな原因があるの?
まず、国際離婚の原因として挙げられるのは、言葉や文化、生活習慣や価値観の違いだ。相手国の食事が口に合わない、親族が母国語しか話せないのでコミュニケーションが取れない、などが離婚の引き金になってしまう。国際結婚では、風習や考え方の違いに馴染めなかったという人も多い。
【参考】離婚する可能性の高い夫婦の特徴
国際結婚の離婚の手続きはどうすればいいの?
日本の法律が適用される条件は、夫婦2人の国籍が日本である、日本で婚姻届を提出していることなどが挙げられる。一方、2人の生活の基盤が配偶者の母国であれば、その国の法律が適用される。日本で国際離婚をする場合は、通常の離婚と方法は同じだ。
国際結婚して離婚するとビザはどうなる?
日本人と結婚して「日本人の配偶者ビザ」を持っていた外国人は、離婚するともうそのビザを使えない。
帰国するか、6か月以内に別のビザへ変更する必要がある。ビザの期限ぎりぎりまで手続きをしないと審査が不利になるので、離婚したら2週間以内に入国管理局へ報告し、日本に残りたい場合は定住者ビザなどの申請をしよう。日本人が外国に住み続けたい場合は、その国の法律を確認しよう。
【参考】入国管理局―在留資格の取消し(入管法第22条の4)
法務省―配偶者に関する届出
新しい在留管理制度がスタート!
国際結婚して離婚したときの慰謝料はどうなる?
日本で結婚・離婚の手続きをしていれば、国内の離婚と同じように慰謝料の請求ができる。しかし相手が母国に帰ってしまい、結局支払われなかったというケースもある。裁判で慰謝料が認められたとき、一括払いの交渉をしておく方がよい。
【参考】相場は?回収率は?請求しない理由は?既婚者に聞く「離婚慰謝料」のイメージ
国際結婚の離婚に関するブログ
国際結婚をしたけど離婚をした、海外でシングルマザーをしている、といった内容のブログもネットでは多く見られる。経験者の生の声を読みたければ、ブログを読んで、参考にするのもおすすめだ。
国際結婚後に離婚した場合、子供のことが心配
子供がいる夫婦の場合、国際離婚をすると親権や養育費の問題が出てくる。日本人同士の離婚では単独親権になるが、外国には共同親権と定められている国もある。また、離婚後に元配偶者が子供を母国に連れ去り、二度と会えなくなるという問題も起こりうる。子供にとって住み慣れた国から、離れることは精神的苦痛を伴うことがあるので、ハーグ条約という国際的なルールにより、条件に合えば、子供の返還を求められる。
国際結婚後に離婚すると子供の国籍はどうなる?
海外で子供が産まれた場合でも、生後3か月以内に日本の役所へ出生届を提出すれば、日本国籍を取得できる。ただし、配偶者の母国の法律によっては、生後すぐその国の国籍が与えられ、二重国籍となることも。その場合、出生届を出すときに国籍留保の手続きを行うか、子供が22歳になるまでに国籍を選択する必要がある。離婚後もそれは変わらず、離婚したからといって、子供の国籍に関する新たな手続きは必要ない。
【参考】法務省―国籍の選択について
国際結婚後に離婚すると子供の養育費は請求できる?
子供が日本に住んでいれば日本の法律が適用されるので、通常の離婚と同じように元配偶者に対して養育費の請求ができる。ただし、きちんと支払われないケースが多いのが現状だ。
以上、国際結婚の離婚率と、国際離婚をする場合の問題点を見てきた。やはり、離婚の手続きも日本人同士の離婚に比べると複雑だ。とはいえ、仲良く暮らしている国際結婚カップルもいるので、良い出会いがあれば、国際結婚するのはなにも問題ない。もし外国人であるパートナーと上手くいかないときは、この記事を参考に、基本的な手続きの方法をチェックしてほしい。
文/ねこリセット
※データは2019年4月中旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。