現在、政府が男性の育休を義務化するなど男性の育児への関心が高まっている。夫婦の生き方が多様化しているが、専業主夫の割合は約1%だといわれている。そんな中、北佳弘さんは、会社員、自営業を経て2009年3月から10年間、専業主夫をしている。現在39歳の北さんは、40歳で看護師の妻、12歳、11歳、5歳の子どもの5人家族。現在は一般社団法人パパフレンド協会代表理事、広島市男女共同参画審議会委員などを務める。北さんに、専業主夫としての生き方を聞いた。
「男は働け」というネットの批判にさらされたことも
奥さんは3人の子どもが生まれたときそれぞれ育休を取ったが、あまりブランクなく復帰したいという奥さんの要望があった。奥さんが学生時代から国家試験などに頑張る姿を見ていた北さんは奥さんのことを応援したいと思った。また、北さんは父親が働き、母親が専業主婦をしている家庭で育ち、その環境が幸せに感じた。そのため、子どもを保育園に預けることは抵抗感があったという。
「実家で自営業をしながら、僕が子どもの面倒を見れば良いと思いました。」最初は北さんのご両親の支援なども受けながら実家で自営業をしながら子育てをしていた。だが、2人目の子どもができたのをきっかけにそれまで家族で暮らしていた家から公園が近くにあり小さい子が多い住環境と、奥さんの通勤環境からを踏まえ、実家から遠い場所に住むことになった。
「自分の仕事より妻の仕事と当時の価値観として私は3歳児神話を信じていたこともあり、子育てを優先しました」。次男が1歳になったとき、北さんは専業主夫になった。
専業主婦になった北さんに対する世間の目はどうだったか。周囲の目は二極化していたという。仲良くなったママ友の一言の中には、「男性が育児していて凄いわね」とという言葉もあったが、ネットなどからは「男は働け」という心許ない声も寄せられた。北さんの両親は北さんの選択について尊重・理解をしてくれたが、奥さんのご両親は直接聞いていないため分からないが、最初は良い気持ちではなかっただろうと北さんは想像している。
「現在は父親支援活動をしている姿などを見せて、理解してくれていると思っています。ですが、専業主夫時代は娘さんをくださいと言って挨拶に来たのに扶養に入っていると、快く思っていなかったのではないでしょうか」。